広島中央警察署の会計課の金庫から広域詐欺事件の証拠品8572万円が盗まれた事件が発覚して、もうじき2年を迎えようとしている。内部犯行の疑いが濃厚でありながら犯人も盗難金も見つからず、前代未聞の不祥事に全国的な関心が高まっていたが、年度末まできて急転直下の動きを見せている。事件後に死亡した警察官が犯行に関与していた疑いが強いとして容疑者死亡で書類送検される見通しが明らかになった。事件は「死人に口なし」で迷宮入りとなり、上層部に管理責任が及ばない形で幕が引かれようとしている。8572万円ものカネがどうして警察署内の金庫から盗まれたのか、そのカネは誰が隠匿しているのか、誰もが警察組織が抱える深い闇に疑問を抱いてきたが、その解明には至っていない。事件が発覚して以後、広島県内の警察やOB、地元メディアも含めた関係者に接触し、調査取材を進めてきた記者たちで状況を分析してみた。 ◇--------◇--