立石 裕二, 2011: 環境問題の科学社会学。世界思想社, 306 pp. ISBN978-4-7907-1515-3. 社会で起こる問題、ことに政策決定に関して、科学者の仕事が求められる。科学者は基本的に、同業の科学者の評価にこたえる研究をする(中山 1980に従って「アカデミズム科学」としておく)が、社会の求めにこたえる場合の科学者の仕事は、それとは違った規範に従う、たとえばGibbonsたちのいう「モード2」[別記事参照]あるいはJasanoff (1990) [読書メモ]のいう「規制科学」であるべきだという考えもある。しかしアカデミズム科学の内容の質は査読などの同僚評価によってそれなりに確保されているが、他の種類の科学は関係者の利害に左右されて科学としての質が保てないのではないかという疑問も指摘されている。本書の「科学者が科学者としての自律性を維持しながら社会にかかわる形にはどん