大水 善寛(Oomizu Yoshihiro) はじめに 通常の経済学の教科書では、経済学は科学であると定義されており、またミクロ経済学においては、実験が可能であるということも主張されている。現在のこうした状況であるが、経済学が科学であるかどうかは占くからの議論の焦点であった。例えば、古くから、帰納法および演緯法的手法を刷いて経済学の理論は形成されている。 ところが1960年代以降、特に70年代以降は論理実証主義等の科学史の援用を得て、この議論が討議されるようになった。 その原点はポパー(K.R.Popper)の反証主義に基づいた、理論のテスト可能性を論じたものである。これ以降は、例えばクーン(T.S.Kuhn)やラカトス(I.Lakatos)等の理論に基づき、経済理論の整合惟、その経済理論の歴史的一貫性、その変化の過程を具体的に取り扱うものである。 この論文ではこうした経済学におけ