『ねじ式』(つげ義春/小学館) 背伸びをしたかった学生時代にサブカルや古典名作にハマり、不条理系怪作漫画と名高い『ねじ式』(つげ義春/小学館)を知った。初読では、「確かに不条理だ。意味がわからない」というだけの感想。意味がわからないから奥深い…そんな浅い理解しか得られなかった。 初読から20年以上が経ち、それなりに本を読み映画を観てきた立場から、あらためて『ねじ式』に向き合いたい、と思い立った。本作は、1968年6月刊行の伝説的漫画雑誌『月刊漫画ガロ』の増刊号で発表された、わずか22ページの短編だ。多くの根強いファンに支持されている。 『ねじ式』の内容を簡単に紹介すると、メメクラゲなるものに噛まれて左腕の静脈を切断された主人公が、出血多量で死ぬ前に、切断された血管を右手で繋ぎつつ、医者を探し求める物語だ。道中では、狭い村道を蒸気機関車が走ったり、金太郎アメにまつわる奇妙なコメディがあったり