「子供の時から、早い時期に科学的なものに触れさせたい」という井深の考えのもと、ソニーでは機会を捉えてはいろいろな催しに協力し、世間の注目を浴びてきた。たとえば1959年5月、東京・日本橋にある三越本店で行われた「少年電子科学展」がある。 「三越本店の大展示場と屋上を、無料でソニーに提供しますので、何かやってみませんか」と、三越の宣伝部から話が持ち込まれてきた。 どうせやるからには、ソニーらしいものがいい。開催期間が『子供の日』をはさんで1週間だから、子供たちが興味を持つようなものをやろう」。あれこれ考えた結果、展示場にトランジスタとトランジスタラジオの製造ラインを設置して、実際に作るところを見てもらうことにした。 むろん、実際に工場で作る時と同じように、製造ラインには15人の女性社員が交替で来て顕微鏡をのぞき、組み立てを行った。そのほかにも、太陽電池を利用して動くヘリコプターや船、国産第1