ぼくの知り合いによく挨拶をする人がいる。最初は気付かなかったけれど、よくよく見ると彼の挨拶は凄い。 まず朝、オフィスに入ってくるなりオフィス中に聞こえる大きな声で「おはようございます」と言う。その声には、全然ためらいがない。内側にこもらず、外側に向かって軽やかに発散していく。それはまるで、一陣の風が吹き抜けたかのようだ。一緒にコンビニに行くと、まずレジに向かって「こんにちは!」と声をかける。知らない人が見たら、きっと顔馴染みの常連だと思うだろう。それほど自然で、また親しげなのだ。しかし彼は、これを通りすがりに入った初めての店でもやる。彼が挨拶すると、つられて返事を返すレジの人もいる。でも、返事を返さない人もいる。あまりにも自然なので、自分が挨拶されたと気付かないのだ。しかし彼は、返事がなくても一向に気にしない。そのままスタスタと店内に進み、買いたい物を手に取ってレジに並ぶ。買う時もまた凄い