気になる記事をスクラップできます。保存した記事は、マイページでスマホ、タブレットからでもご確認頂けます。※会員限定 無料会員登録 詳細 | ログイン 「L」字型に曲がった袋小路 幼いころ、ぼくは都内の小さな路地で暮らしていた。 それは両側に小さな民家が並ぶ「L」字型に曲がった袋小路で、車はもちろん部外者も立ち入ることはない、隔絶された安全な遊び場、ぼくたち子どもの王国だった。 路地には、赤ん坊から小学生まで大勢の子どもがいた。 Mちゃん、Tちゃん、ああ、Hちゃんもいたっけ……。 引っ越してしまった子もいれば新たに生まれてきた子もいて、いったい何人の子どもが暮らしていたのか、今となってはよく思い出せない。 路地の子どもたちは、いつもいっしょに遊んでいた。 約束なんかいらない。 靴を履いて路地に立てば、続いて誰かが、すぐに現れる。 鬼ごっこや隠れんぼはもちろん、そのほか、名称もないその場かぎり