1.愛着についての歴史 19世紀ぐらいの欧米では、親のいない乳児を育てる乳児院において、乳児の死亡率の高さが社会問題となっていました。衛生面や設備面などを向上させることで、多少なりとも死亡率は改善しましたが、十分ではありませんでした。また、死亡せずに成長したとしても、発達が遅れていたり、情緒的に不安定だったりすることが往々にありました。 こうした問題について研究を重ねることで、物理的な衛生や設備ではなく、世話をする人がどれだけ乳児と接触したのかが、その後の死亡率や発達が遅れる問題に関係していることがわかってきました。 こうしたことが20世紀の初期から中期にかけて取り組まれたことでした。この課題を研究する中で愛着ということが人間としての発達に非常に重要であることが分かってきました。そして、それと同時に、愛着が欠けることがどれほど人間の成長に有害であるかも分かってきました。 愛着対象がいないこ