常々、日本経済が低迷している理由の一つとして、労働市場の流動性のなさを感じてきた。産業の変化に応じての人材の移動が少なすぎる。企業という組織も、固定された人たちが組織に固定された論理で動くため、自らの変化が乏しい。人材の移動とともに、異質な人材が交わるところから、新しい事業は生まれやすくなると思うのだ。 基本的に、人材が動き回るこのダイナミズムの価値は疑っていない。その一方で、最近、組織に居座り「背負う覚悟」をなえがしろにしてはいけないと思うことが多い。 先日、『荒野の七人』という映画を見た。もう小学生の頃から何度も見ている映画だが、見る度に刺さるポイントが違う。この映画は黒沢明監督の時代劇『七人の侍』をアメリカでリメイクしたものである。舞台は、西部開拓時代のメキシコの村。この細々と農業を営む村は、収穫の度に搾取しにやってくる山賊の存在に長年苦しんでいる。がまんの限界に達した村人たちは、山