政治、社会、文化が大きく変化した明治時代のさまざまな側面を、その時代を生きた人々による書と、西欧から新しい表現方法を得た絵画によって点描します。 書は維新の三傑をはじめとする政治家や文化人の揮毫を、絵画は高橋由一や五姓田義松など洋画を中心に、明治の人物、都市、自然などを描いた作品を紹介します。
![東京国立博物館](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/5748e710e97ea559c4a060b49fde123f405fcbb0/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fwww.tnm.jp%2Fjp%2Fexhibition%2Fimages%2Ftmp%2Fbuilding%2Fhonkan02.jpg)
東京国立博物館は、明治5年(1872)3月の湯島聖堂博覧会の開催をもって、創立・開館としています。湯島聖堂博覧会が終了した直後より、当館職員だった町田久成(まちだひさなり)や蜷川式胤(にながわのりたね)等が中心となって、宝物調査を行いました。名古屋から伊勢、京都、奈良方面へ出向いて調査を行うほか、全国から宝物の目録を蒐集しました。明治5年の干支から「壬申検査(じんしんけんさ)」と呼ばれるこの調査は、明治4年(1871)の古器旧物保存(こききゅうぶつほぞん)の布告を受けたもので、日本の文化財保護活動のはじまりと位置づけられます。 壬申検査では、多くの写真が撮影されましたが、寺社で調査した宝物を町田や蜷川、内田正雄が、自ら模写や拓本も採っています。天保4年(1833)以来、約40年ぶりに開封された正倉院でも、多くの正倉院宝物の模写を作成し拓本を採取しました。それらは当時の正倉院宝物の状態がわか
特集陳列「断簡―掛軸になった絵巻」で展示されている作品の様々なドラマをご紹介しているブログの第3回目。今回は「絵巻が断簡になるとき」と題して、巻子だった絵巻が、どういった理由で掛軸の断簡となったのかを、今回展示している紫式部日記絵巻断簡をめぐるドラマティックなエピソードとともにご紹介したいと思います。 さて、絵巻が断簡になるのはいくつかの理由が考えられるのですが、大きく分けて二つの理由が考えられます。一つは不可抗力により絵巻が断簡となった例。もう一つが人為的に断簡となった例です。 一つ目に関しては、経年による糊離れなどによってバラバラとなってしまい、一紙あるいは数紙分を断簡に仕立てた例。第1回目のブログ「断簡―掛軸になった絵巻―(1)再会する絵巻」でご紹介した男衾三郎絵巻や、今回展示している住吉物語絵巻とその断簡も、おそらくこの理由から断簡となったと思われます。戦災により分かれてしまった狭
みなさま、本館特別1室の「グラスゴーから来た西洋画―博物館草創期の国際交流1 」(2012年11月13日(火) ~ 12月24日(月・休) )、ご覧いただけましたでしょうか。 あれ?西洋美術館に来ちゃったかしら?と思われるような、当館ではちょっと異質な空間です。2次元の平面に3次元世界を展開する油絵の技法は、明治時代の日本ではとても珍しいモノでした。美しい装飾の額も目を引いたに違いありません。 さて、これらの作品はグラスゴーからの長旅に耐え、当館では130年以上も保存されてきました。今回この作品たちにスポットライトをあてるべく、展示計画を中心的に行なった遠藤楽子研究員はいろいろな情報を集めるために奔走しましたが、いざ展示となると、すべての作品の額が劣化して壊れていたり、作品が額の中でずれていたり、画面には汚れが・・・。 でも、大丈夫、トーハクには文化財の救急隊が常駐している保存修復課があり
東日本大震災の後、「貞観地震(じょうがんじしん)」と呼ばれる、同じような性質を持った地震が1100年以上前に起こったことが、広く知られるようになりました。当時の政府の公式記録(正史)である『日本三代実録』にそのありさまが記述されていたことにより、今日までその事実が伝えられたのです。これに限らず、地震や火山の噴火など自然現象とそれに伴う災害の研究には、古記録、古文書、絵図などの歴史資料が大きな役割を果たしています。現在では、歴史資料の記述をもとに地震の特徴や周期性を推定し、自然科学的なデータや考古学の知見などとの整合性を検証することによって、地殻変動の動向を把握することが行われています。 この特集では、歴史資料が地震研究にどのように利用されているかを、古代以来周期的に発生している巨大地震や、幕末に起こった連続地震に関する具体的な資料とその理学的な分析の事例によって紹介し、自然のふるまいと防災
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