私は「英国の歴史的な家事使用人」の研究を10年以上続ける立場で、彼らの職種や転職事情、仕事の詳細や労働環境、そして個々人の生き方に強い関心を持ってきました。今回、夏コミ新刊の『英国メイドがいた時代』前半はその延長で作っていますが、後半は「家事使用人」から「家事労働者」へと名を変えた職業が、1980年代以降に英国で復活した現代事情も扱っています。 現代事情を扱うのは正直なところ、非常に難しいです。それでも、今回は「家事使用人の延長として語りえる要素」「読んだ方々に、現代との比較を想起させる要素」を選択して盛り込みました。その中で、ページ数や締切という制約もあって、現代に繋がるところで「ここにも繋がっている」と細かく言及できなかった点が3つありますので、補足として記します。 私が学ぶ「歴史的な家事使用人」が照らしえる領域は非常に広く、少しでも顔を上げると様々なジャンルの学問との重なりがあります
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