新幹線が開業し、東京オリンピックが開催された昭和39年(1964)、東京・千住にあった火力発電所が取り壊されました。この発電所は巨大な4本の煙突を持っていて、地元では「おばけ煙突」と呼ばれていました。押しつぶしたような菱形に煙突が配置されていたため、見る角度によって1本にも2本にも3本にも、そしてもちろん4本にも見えたからです。 この千住火力発電所は、東京電力のものでした。しかし建造したのは、その前身である東京電灯という会社です。 明治19年(1886)7月5日、日本初の電力会社・東京電灯(東京電燈)が営業を開始します。しかし、当時誰も電気なんて知らないので、設立には非常に苦労しました。 明治15年(1882年)、大倉喜八郎(ホテルオークラや大成建設を設立)や原六郎(第百国立銀行などを設立)ら財界人が東京府知事に設立願を提出しますが、その冒頭には次のように書いてありました。 《燈火は人間社