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  • 坂のある非風景 追悼 吉本隆明

    なにか書こうと思って、冬眠から春眠への境界を眠りのなかで越えながら、そこに吉隆明の訃報がとどき、これで戦後が終わったという、戦後がなにか考えもしない暢気な連中の大合唱を聞いたり聞かなかったりしていた。戦後は始まったばかりだし、どんな時代よりも長い戦後の終りへと道は延びている。 『共同幻想論』が私の書物だったことはないが、そこには、小林秀雄やマルクス・エンゲルスへの深い理解、柳田國男への敬愛も満々と湛えられていて、批判ではなく愛が一冊の書物に結ばれるという公理に私ははげしくうたれたのである。 しかし私の書物だったことはない、ということを告げてきたのは、書が国家論の見かけをとった観念論批判であり、じつは恋愛論だったということを認めたくないからだった。けっして愛が世界を救うと語らないことによって語られる愛を、私もまた見ないためだった。 まるで、ともに生きた人に愛していなかったと告げるように、

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