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ブックマーク / booklog.kinokuniya.co.jp (10)

  • 『新日本人の起源』 崎谷満 (勉誠社) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

    →紀伊國屋書店で購入 著者の崎谷氏はもとはウィルス学が専門ということだが、日人の成り立ちをさぐるために、分子遺伝学、人類学、言語学までを射程におさめ、京都大学の伝統である学際的なとりくみをおこなっている研究者である。書も第一章はDNA、第二章は文化、第三章は言語とアプローチを変えている。 崎谷氏は2003年の『日列島の人類学的多様性』以来、日人の起源論を精力的に発表し、2008年には一般向けの『DNAでたどる日人10万年の旅』(以下、『10万年の旅』)を上梓したが、同書執筆中にY染色体の研究が急速に進んだために、あらためて書『新日人の起源』を書いたということである。 『10万年の旅』は現在絶版になっているが、『新日人の起源』には『10万年の旅』にないような画期的な発見が盛りこまれているのだろうか? 素人目には大筋は変わっていないように思えたが、専門家が見れば違うのかもしれな

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  • 『てにをは辞典』小内一(三省堂) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

    →紀伊國屋書店で購入 「辞書には裏の顔がある」 すでに巷で話題のこの、思った以上にクセ者だった。 『てにをは辞典』などというと、何となくわかった気になる。たしかに日語の「てにをは」の使い方は難しいから、辞書くらいあったって悪くはない。自分は決して手に取らないかもしれないが、誰かが使うんだろう。棚の風景にもよく合いそうだし。 そして扉を開くと、やさしくにこやかな解説。こちらの誤解をやんわりと解きつつ、このは「結合語」を調べるための辞書なんです、というような説明がある。たとえば「規格」という語がある。これに「~する」とつなげたいのだけど、どういう言葉が合うんだっけ?と迷った経験のある人は多いだろう。この辞書を引くと、すかさず「~を画一化する」「~に合う」「~にあてはめる」「~に外れる」「~にはまる」といった用例が出てくる。この中から選べばいい。 なんだ、それだけか、と思う人もいるかもし

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  • 『ハングルの誕生』 野間秀樹 (平凡社新書) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

    →紀伊國屋書店で購入 ハングルは15世紀という遅い時期に他の文字を十分研究した上で作られたので造字原理が非常に洗練されている上に、誕生の経緯を記した文書群が今日に伝わっている。南北朝鮮の人たちがいうような至上の文字だとか万能の文字だという自画自賛は別にしても、非常に興味深い文字であることは言うを待たない。 書はハングル創製にあたって李朝第四代の王世宗が公布した『訓民正音』を現代の言語学というか現代思想の観点から読みとこうとする試みである。ハングルの言語学的考察としては姜信沆『ハングルの成立と歴史』があるが、その成果を踏まえながら漢字の世界と決別した「正音エクリチュール革命」としてハングルを考えようとしたらしい。 らしいと書いたのは書でくりかえし語られる「驚き」には政治的レトリックがちらついていて、文字通りには受けとりにくいからである。 わたしがまず引っかかったのは北朝鮮を共和国と表記し

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  • 『ニセドイツ<1>』伸井太一(社会評論社) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

    →紀伊國屋書店で購入 「面白うて やがて悲しき ニセドイツ書は、かつての東ドイツドイツ民主共和国)社会について、工業製品の紹介を中心に、ユーモアたっぷりに記したものである。 ドイツといえば、カメラでいえばライカ、クルマでいえばBMWといったように、われわれが憧れてきた工業製品の多くを作りだしてきたことで知られていよう。さらに、日社会との共通点として、人々の勤勉さや技術力の高さ、それゆえの工業製品のクオリティの高さなども知られていよう。 このように、我々の多くが半ば当たり前のように抱いているドイツに対するイメージを、書はいい意味で裏切ってくれる。まず、『ニセドイツ』という書名からして、ユニークだが、その由来について、著者は以下のように記している。 『ニセドイツ』は西(ニシ)ドイツをもじった言葉で、東ドイツ製品の 「妖しい」雰囲気を強調する効果を狙った題名である。 東西に分裂した国

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  • 『アドルノ伝』シュテファン・ミュラー=ドーム(作品社) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

    →紀伊國屋書店で購入 「最強のアドルノ伝」 格的なアドルノ伝。ロ-レンツ・イェ-ガ-の『アドルノ ― 政治的伝記』が「政治的な」という但し書きをつけたのが、少しわかる。こちらは研究者がじっくりと調べた伝記で、あまり楽しい逸話はないとしても、アドルノの思想的な動きが詳しく追跡されているのだ。現在のところ、最高のアドルノ伝と言えるだろう。 たとえばウェーバーの跡を継いだ音楽社会学的な構想は、クシェネクとの対話のうちで、練り上げられる(pp.174-185)。作曲家でもあったアドルノにとっては、音楽とその批評は他の哲学者の誰にも負けない領だったが、音楽批評の方法は同時にアドルノの方法論を決めるものでもあった。 アドルノは、大作曲家は、「まさにその外見上の主観主義のなかで客観的な社会的要請のメガフォンとなる」(p.176)と考える。このようなイデオロギー的な批評方法を採用することで、アドルノは

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  • 高山宏の読んで生き、書いて死ぬ : 『シラーの「非」劇-アナロギアのアポリアと認識論的切断』青木敦子(哲学書房)

    →紀伊國屋書店で購入 「疾風怒濤」を思いきって「ゴス」と呼んでみよう ゲーテは尊敬するが、愛するのは誰かと言われればシラーである、というのがドイツ人の口癖だとはよく聞く話だが、一体、いま現在の日にとって古くて遠いドイツロマン派の劇作家・詩人・歴史家ヨハン・クリストフ・フリードリッヒ・フォン・シラー(1759-1805)が大文豪だったという「噂」を聞かされても、どんだけっ、である。硬直した社会への抵抗を熱く説く革命文学者と聞くだに、ださっ、である。「疾風怒濤」運動随一の担い手だそうだが、もう疾風怒濤なんて字も響きもなんだかキモッ、である。ケータイ小説こそ新時代文学の息吹などと、かの「ニューヨーク・タイムズ」までが珍妙に褒め讃える我々のブンガク状況の中で、浪漫派、浪漫主義は、完全に死語である。 ひとつには、いわゆる独文学の世界にレベルを保ちつつ啓蒙の気概をも持ち合わせた人物がいないこともある

    高山宏の読んで生き、書いて死ぬ : 『シラーの「非」劇-アナロギアのアポリアと認識論的切断』青木敦子(哲学書房)
    tweakk
    tweakk 2010/11/13
    「ひとつには、いわゆる独文学の世界にレベルを保ちつつ啓蒙の気概をも持ち合わせた人物がいないこともある。この2月に川村二郎氏が亡くなって、いよいよその感が強い」
  • 文芸評論家・加藤弘一の書評ブログ : 2009年01月

    tweakk
    tweakk 2009/03/02
    マラルメ論4冊 歴史、文献学、分析に夢中になっていた19世紀がマラルメの構造言語学にいかに無理解であったか
  • 『文字はこうして生まれた』 シュマント=ベッセラ (岩波書店) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

    →紀伊國屋書店で購入 文字の起源論として、現在、最も有力なトークン仮説を、提唱者であるシュマント=ベッセラ自身が一般向けに語ったである。トークン仮説はフィッシャーの『文字の歴史』や菊池徹夫編『文字の考古学』などに言及されているが、格的な紹介は書がはじめてである。 トークンとは中近東の遺跡で大量に出土する粘土製の小物を指す。小指の先からピンポン玉くらいまでの大きさで、形は球形、円錐形、円筒形、三角錐、立方体、円盤とさまざまで、後期には模様を刻みこんだり、動物の頭部を形どったものもある。小さくて大量に出土する上に、遊具と考えられていたので、長いあいだぞんざいにあつかわれていたらしい。保存されている数は遺跡によって開きがあるが、農耕のはじまった8千年前から粘土板文書が作られるようになった千年前まで、およそ3千年間にわたって中近東で広く使われていたのは確かである。 トークンが注目されるように

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  • 『1冊でわかる文学理論』 ジョナサン・カラー (岩波書店) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

    →紀伊國屋書店で購入 入門書として有名なオックスフォード大学出版局の Very Short Introductionsが岩波書店から「1冊でわかる」シリーズとして邦訳されている。 フランス産の文庫クセジュは良くも悪くも百科全書の伝統に棹さしており、とっつきにくい面があるが、こちらは英国産だけに読み物として気軽に読める。もちろん、気軽といっても、内容は格的である。訳文は読みやすいものもあれば読みにくいものもあるが、わたしが読んだ範囲では文庫クセジュの日版よりは概して読みやすいという印象を受けた。訳者もしくは斯界の第一人者による解説と文献案内がつくが、どれも中味が濃い。 好企画だと思うが、「1冊でわかる」という物欲しげな題名だけはいただけない。原著は Very Short Introduction だから、あくまで基礎づくりであり、その先があるのだ。「1冊でわかる」ではなく、「超短入門」と

    『1冊でわかる文学理論』 ジョナサン・カラー (岩波書店) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG
    tweakk
    tweakk 2009/01/04
    このシリーズVery Short Introductionsの翻訳だったのかあ!とにかくカフカは買う
  • 『ヘブライズム法思想の源流』鈴木 佳秀(創文社) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

    →紀伊國屋書店で購入 「旧約聖書の謎解き」 旧約聖書の『申命記』でモーセが語る重要な言葉がある。「イスラエルよ、聞け。われわれの神ヤハウェは唯一なるヤハウェである。あなたはあなたの心を尽くし、精神を尽くして、力を尽くして、あなたの神ヤハウェを愛さなければならない」(六章四~五節)というものである。 このモーセの言葉は奇妙な謎にみちている。相手に向かって「イスラエル」という三人称的な言葉で呼び掛けながら、すぐに「われわれの」神という一人称の複数に転換する。そして「あなたは」という二人称の単数に切り替わるからだ。この人称の単数と複数、一人称と二人称、三人称の転換は以前からさまざまな議論の対象となってきた。 この書物ではヘブライの法思想を当時のオリエント世界の法律と比較する考察など、示唆に富む考察も多いが、何よりもこの謎を解くことに力をいれており、この謎の解明が書の山場でもある。 まず著者はこ

    『ヘブライズム法思想の源流』鈴木 佳秀(創文社) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG
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    tweakk 2006/03/14
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