「本当に来ちゃった……」 遊園地の入り口前で、愛梨はポツリと呟いた。 それから自分の携帯を確認する。 愛梨の携帯が示す時刻は、十時少し過ぎ。 ここまで来るのに、二時間も掛からなかったことになる。 「私、てっきり、各駅てゆっくり行くと思ってた。……新幹線、使うなんて」 当然、新幹線を使えばその分、交通費は高くなる。 とはいえ…… 「どうせなら、早く着いて、長く遊びたいだろ?」 一颯はお金を払って時間を節約できるなら、喜んでお金を払う。 少なくとも新幹線代くらいなら、躊躇はない・ ……そもそも、お金が勿体ないならこんな場所に来るべきではないのだ。 「お金は……絶対に返すから」 「別に気にしなくてもいいけどな」 「私が気にするの!」 我儘なところがある愛梨だが、一颯に全額出させるほど図々しくない。 自分の代金は自分で支払うと主張する。 「まあ、いいけど。……あるのか?」 「ま、まあ……来年の一月