土星探査機カッシーニは今年4月、土星の環をくぐりぬけて、土星本体への接近探査を行うミッションを成功させた。このミッションによって、これまで知られていなかった土星の詳細なデータが得られているが、そのことでかえって土星についての謎が深まる状況も生まれている。 土星の磁場の発生メカニズムも研究者を悩ませている謎のひとつである。 太陽系の惑星の多くが、固有の磁場をもっていることが確認されている。固有磁場をもっていない惑星は金星と火星だけであり、それ以外の惑星はみな固有磁場をもっている。また火星についても、過去には固有磁場をもっていた時期があったことを示唆する残留磁化の存在が確認されている。 惑星が固有磁場をもつ仕組みを説明する理論として、ダイナモ理論がある。ダイナモ理論では、惑星の核を構成している導電性の流体の流動によって電流が生じ、この電流によって磁場が形成されるとする。惑星内部の導電性流体は、