「シュレディンガーの猫」の思考実験の問題について、 1957年、当時、プリンストン大学の大学院生にすぎなかったヒュー・エヴァレットから、 とてつもなく画期的なアイデアが提示される。 そのアイデアはとてもシンプルなものだった。 「電子も猫も、あらゆるミクロの物質は、 可能性のまんまで、重なり合って多重に存在している、 ってのが、量子力学の結論なんでしょ? でもさぁ、『猫を観測している人間』だって、同じミクロの物質で作られているんだよね? だったら、なんで、 その量子力学の結論を 『人間』にも適用してあげないのさ」 それを聞いて、誰もが、はっとした。 それは、当時のどんな天才科学者たちも、みな見落としていたことだった。 よくよく考えたら、「猫を観測している人間」だって、 電子や猫と同じ物質で出来ているんだから、 「人間」にも量子力学を適用しなければ、公平ではないだろう。 「なぜ、誰も気がつかな