宗教と政治の転轍点 保守合同と政教一致の宗教社会学 [著] 塚田穂高 泡沫(ほうまつ)候補という言葉がある。選挙で当選する見込みがきわめて薄い候補者のことだ。彼らは、たとえ一時的に話題に上がることはあっても、時間がたつにつれ忘れ去られてゆく。政治学の世界でも、泡沫候補に関する研究というのは皆無に等しい。 本書は、宗教政党に属した候補という限定付きながら、昭和から平成にかけての泡沫候補に関する初めての本格的な研究である。もっとも本書は、その研究自体を目指してはいない。戦後日本の宗教運動を、独自の政党を作らず、既存の政党を支持するだけの「政治関与」型と、独自の政党を作って選挙に立候補する「政治進出」型に大きく分け、両者の事例について考察しているからだ。けれども圧倒的に面白いのは後者で、各教団の内部資料を集めるばかりか、選挙に打って出る宗教政党の会見にまで出席するなど、ただならぬ努力が費やされて
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