雑記 | 12:47 | Cという男は慎重というか臆病で気弱な性質で、周囲の人に知られているのであるから、Cが僕と会うたび店を予約することを、いちいち僕は驚きもしない。しかし、店に入ってみると人影はまばらである。終始人が混雑して行き違うことはなく、ただひっそりと少人数の客だけをその空間が重ならぬよう均等に配置させ、大勢の店員たちがそれをもてなし、そうして時間が過ぎてゆく。僕はむしろそちらの閑散具合に驚いた。それを見ていると、隠れ家然とした『若』のうす暗い店員のほうが数がいくらも多いことがわかる。そこで、「予約取らいでもよかったんちゃうのん」と僕は戯れにとばかりCにぶつけた。すると、Cはやけに強張った笑顔で「そうっすね」とだけこたえるのだった。僕がCの浮かない表情に気づいたのはその瞬間がはじめてであった。店内はごく静かである。黒と白を基調とした冷やかさしか感じない無機的な店内装飾、ひたすら