嘉門達夫が「ゆけ!ゆけ!川口浩!!」というコミックソングで中ヒットを飛ばしたのはいまから25年前のこと。これは「川口浩探検隊」という当時のテレビの人気企画をパロったもので、洞窟へ探検隊よりも先に照明やカメラマンが入るおかしさなどがネタにされている。 くだんの歌はもしかして、探検という行為の本質を突くものだったのではないか……本書にあった以下の記述を読んで、ふとそんなことを思った。 〈時に、探検家は滑稽としか言いようのない複雑な気分を味わう。誰も知らない謎をめざすとはいえ、現地では謎でも何でもない。未踏の秘境と考えられる場所にさえ、人が暮らしているのだから。発見する側からすれば困難に思えることも、発見される側からすればいとも容易い日常の風景なのだ〉 最近でこそ少しずつ変化は見られるものの、探検家たちの業績を歴史のなかに位置づけるとき、先住民の存在はほとんど顧みられることはなかった。それはどこ
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