ある人が妻又は夫以外の異性と結婚をしたとします。このようなことは許されないと、人は考えるでしょう。実際、重婚は禁止されています。 刑法では、配偶者のある者が重ねて婚姻をしたときは2年以下の懲役が科されることになっています。ただ、この場合「婚姻」とは婚姻届を出して戸籍に記載されたもの、つまり法律上の婚姻をいうと解されています。そうすると、民法では配偶者のある者は重ねて婚姻をすることができないとしているので、できないことを犯罪として罰することにしているという変な話になります。 では、どうしたら重婚罪になるのでしょうか。裁判例では、偽造・虚偽の協議離婚届により戸籍上前婚を抹消して、婚姻届を提出した場合に重婚罪の成立を認めたものがあります(名古屋高判昭和36年11月8日高等裁判所刑事判例集14巻8号563頁)。刑法の教科書等では、この他に、戸籍係が誤って婚姻届を受理したような場合など、ごく例外的に