問題は「ロストジェネレーション論」などの世代論で世の中を規定しようと言う考え方のおかしさというところに集中するのだ。 『呪いの時代』(内田樹著/新潮社/2011年11月20日刊) つまり朝日新聞がいうところの「ロストジェネレーション論」によれば、『社会の最底辺に格付けされている人間に社会の諸矛盾は集約的に表現されており、その人たちはそれゆえにこの社会の矛盾の構造を熟知しており、この社会をどう改革すべきかの道筋も洞察していると言う事になります』ということなのだが、この論は話の前半と後半が本来は関係ないはずなのに、何故かふたつの違う論を無理やりつなげてしまっているところに問題がある。 『卒業年次ゆえに下層に格付けされているという主張がもし正しいなら、彼らが階層を上昇するということは原理的にはありえません。もし、彼らの中から階層を上昇するものが出てきた場合、それは「卒業年次が階層化の主因である」