立身出世と下半身―男子学生の性的身体の管理の歴史 [著]澁谷知美 「1890〜1940年代において、男子学生の性的身体は、教育者や医者らによって、どのように管理されたのか」を、資料分析や当事者へのアンケートを通して論考した本。 男子学生たちは、「性的なことにかまけている場合ではない」と有形無形の圧力を受けてきた。なぜかまけてはいけないかというと、勉学がおろそかになり、国家に有用な人材に育たないからだ。恋や性的行いは、立身出世を果たしてから思う存分すればいいのである。 そんな無茶(むちゃ)な。しかし大人は(女遊びしている自身を棚に上げ)、「花柳界に足を踏み入れるな」「自慰をするな」と学生たちに要求する。しまいには、高等学校などの入試において、身体測定とともに性病検査(通称「M検」)が行われる。全裸の男子学生の性器に、医者などがじかに触れて、性病にかかっていないかチェックするのだ。余計なお世話
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