民族という名の宗教―人をまとめる原理・排除する原理 (岩波新書) 作者: なだいなだ出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1992/01/21メディア: 新書購入: 3人 クリック: 27回この商品を含むブログ (28件) を見る※本書評は3年前に書かれたものです。 ひょっとすると自分のライフワークのテーマを左右することになるかも知れない書である。中西治、後藤健生の本を読んで国民(民族)国家に対する関心が強まっていた時だけに、確かにインパクトは大きかった。 本書のキーワードは「フィクション」である。世界宗教、民族とそれに付随する国民意識(ナショナリズム)は、一貫してフィクションとして描かれている。 その前に注意を要するのは、著者は民族を国民と同義で使用している点である。衛藤・渡辺・公文・平野『国際関係論』(東京大学出版会、1982年)にもある通り、「慣用的には国民と民族とにはかなりニュアン