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ブックマーク / shorebird.hatenablog.com (12)

  •  「Risk Intelligence」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    Risk Intelligence: How to Live with Uncertainty (English Edition) 作者: Dylan Evans出版社/メーカー: Free Press発売日: 2012/04/17メディア: Kindle版この商品を含むブログ (21件) を見る 書はディラン・エヴァンズによるヒトのリスク知性にかかるだ.エヴァンズは進化心理学のをいくつか書いていることで有名だが,実際には多彩な研究歴をもっている.若い頃一旦ラカニアン精神分析医になったが,その精神分析の方法論自体に疑問を持ち分析医をやめ,哲学のコースをとりながら進化心理学を勉強し,その後進化ロボティクス,温暖化と格差問題に対するユートピア的な解決,意思決定理論,リスクマネジメントなどのリサーチャーになっている.現在はリスク知性のリサーチとそれをビジネス界に売り込むビジネスを行っており

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  •  「ヒトはなぜ協力するのか」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    ヒトはなぜ協力するのか 作者: マイケルトマセロ,Michael Tomasello,橋彌和秀出版社/メーカー: 勁草書房発売日: 2013/06/30メディア: 単行この商品を含むブログ (10件) を見る 書は発達心理学者マイケル・トマセロによるヒトの協力についてのである.これは元々スタンフォード大学で2008年10月に行われたタナー講義(Tanner Lectures on Human Value*1 )におけるトマセロの2回の講演「Origins of Human Cooperation」とそのディスカッションをまとめたもので,小振りだが,趣旨が明快なになっている. トマセロといえば,発達心理,比較心理の視点からリサーチを行い,言語獲得において,チョムスキーによる生得的な生成文法,言語構造を認めずに激しくがんばっていることで有名であり,文法を含む言語能力の生得性について全く

     「ヒトはなぜ協力するのか」 - shorebird 進化心理学中心の書評など
  •  「恋するオスが進化する」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    恋するオスが進化する (メディアファクトリー新書) 作者: 宮竹貴久出版社/メーカー: メディアファクトリー発売日: 2011/10/28メディア: 新書購入: 4人 クリック: 58回この商品を含むブログ (6件) を見る 書は昆虫の進化生態の研究者による一般向けの性淘汰・性的コンフリクトにかかるである.性淘汰に関する行動生態学が急速に進展したのは1980年代以降,特に1990年代以降であり,その中で様々な性的コンフリクト状況も知られるようになってきたものだ.非常に興味深い内容が多く,一般向けにわかりやすくかつ一冊にまとめるのはなかなか難しいトピックだが,書は一般読者が興味を持つような生物の具体例を紹介しつつなかなかコンパクトにまとまっている. まず序章で,雄が交尾の際にメスを傷つけるという現象(ペニスに棘がついていて傷をつける,あるいは精子と一緒に毒を注入する)を紹介し,コンフリ

  •  「肥満は進化の産物か?」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    肥満は進化の産物か?: 遺伝子進化が病気を生み出すメカニズム (DOJIN選書) 作者: 颯田葉子出版社/メーカー: 化学同人発売日: 2011/07/31メディア: 単行 クリック: 37回この商品を含むブログ (3件) を見る 書は分子進化学者颯田葉子によるヒトの病気にかかる遺伝子および分子進化の様々な話題を扱ったである.化学同人によるDOJIN選書の一冊. まず最初の3章をかけてDNA,分子進化,ヒトの進化を概説している. 第1章のDNA周りでは突然変異の詳細をやや詳しく取り扱って説明している. 第2章の分子進化においてはメンデルの法則を解説したあと,その突然変異がどう広がるかという観点から説明し,任意交配集団における(この用語自体は使っていないが)ハーディワインベルグ比を解説したあと,浮動の概念を扱い,その浮動へのバイアスという形で淘汰を位置づけている.最後に分子進化の中立説

     「肥満は進化の産物か?」 - shorebird 進化心理学中心の書評など
    ukeye
    ukeye 2011/09/11
  • 「Why everyone (else) is a hypocrite」 第7章 その2  - shorebird 進化心理学中心の書評など

    Why Everyone (Else) Is a Hypocrite: Evolution and the Modular Mind 作者: Robert Kurzban出版社/メーカー: Princeton Univ Pr発売日: 2011/01/03メディア: ハードカバー購入: 4人 クリック: 174回この商品を含むブログ (25件) を見る 第7章 自己欺瞞(承前) 自己欺瞞について「自己評価を保つため」とか「気持ちよくなるため」という説明ではそのメカニズムを当には理解できないことを説明した後で,クツバンは陥りやすい別の罠を取り上げる. <嘘をついて> クツバンによると自己欺瞞による混乱は「『人』は信念を持つ」という誤解が元になっていることが多いという.モジュール的にいうと「信念」は脳の中の特定のモジュールの機能に過ぎない.クツバンは多くの人はコンピュータについてはあまりこのよ

    「Why everyone (else) is a hypocrite」 第7章 その2  - shorebird 進化心理学中心の書評など
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    ukeye 2011/07/04
  • 「Why everyone (else) is a hypocrite」 第7章 その1  - shorebird 進化心理学中心の書評など

    Why Everyone (Else) Is a Hypocrite: Evolution and the Modular Mind 作者: Robert Kurzban出版社/メーカー: Princeton Univ Pr発売日: 2011/01/03メディア: ハードカバー購入: 4人 クリック: 174回この商品を含むブログ (25件) を見る 第7章 自己欺瞞 さて第7章では自己欺瞞のうち第2類型「矛盾する信念が同じ脳にある」ものを取り上げる.クツバンはまず典型例を示す. フレッドは末期ガンで余命は苦痛を伴う延命治療を受けてようやく6ヶ月,長くとも9ヶ月と診断された. フレッドは前向きな姿勢が重要だと言い,尋ねられると,「自分の状態はいつも医師を驚かせていて,きっと完全に回復できる」と答え,「苦痛を伴う治療など不要だ,しかし妹と約束したので,彼女を安心させるため治療を受けるつもりだ

    「Why everyone (else) is a hypocrite」 第7章 その1  - shorebird 進化心理学中心の書評など
    ukeye
    ukeye 2011/07/01
  •  「ヒトの子育ての進化と文化」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    ヒトの子育ての進化と文化 -- アロマザリングの役割を考える 作者: 根ヶ山光一,柏木惠子出版社/メーカー: 有斐閣発売日: 2010/07/07メディア: 単行(ソフトカバー)購入: 2人 クリック: 27回この商品を含むブログ (1件) を見る 書はヒトの母親以外による子育て(書ではアロマザリングと読んでいる)について分野横断的な寄稿を集めたものである.全体では3部構成になっており,第1部では進化生物学,進化心理学的視点から,第2部では文化人類学,歴史学,心理学の視点から,第3部は現代日の様々な子育て支援の取り組みの現場からという順序になっている.全体を通して読むと,書は少子化が進む現代日において,子育てについて厳しいプレッシャーが母親のみにかかっていることを問題だと捉え,その背景にある「子育ては(特に3歳までは)母親のみが関わることが望ましい」という考え方を打破し,より良

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    ukeye 2011/06/29
  • 「Why everyone (else) is a hypocrite」 第6章 その3  - shorebird 進化心理学中心の書評など

    Why Everyone (Else) Is a Hypocrite: Evolution and the Modular Mind 作者: Robert Kurzban出版社/メーカー: Princeton Univ Pr発売日: 2011/01/03メディア: ハードカバー購入: 4人 クリック: 174回この商品を含むブログ (25件) を見る 第6章 心理的宣伝(承前) さて章の最後に,クツバンはこの戦略的誤謬のケーススタディとして,お得意の「進化心理学に対するいわれなき中傷」現象を取り上げている. <戦略的誤謬:幕間劇,あるいはケーススタディ> まず最初に科学者にある戦略的誤謬を説明する. まずクツバン自身が学生のころに持っていた科学についてのポリアンナ的幻想*1「他人の論文を読み,そのロジックや証拠を評価し,自分のアイデアが代替アイデアより正しいかどうか確かめるために実験し,

    「Why everyone (else) is a hypocrite」 第6章 その3  - shorebird 進化心理学中心の書評など
    ukeye
    ukeye 2011/06/26
  • 「Why everyone (else) is a hypocrite」 第6章 その2  - shorebird 進化心理学中心の書評など

    Why Everyone (Else) Is a Hypocrite: Evolution and the Modular Mind 作者: Robert Kurzban出版社/メーカー: Princeton Univ Pr発売日: 2011/01/03メディア: ハードカバー購入: 4人 クリック: 174回この商品を含むブログ (25件) を見る 第6章 心理的宣伝(承前) 自己欺瞞の最初のカテゴリー:戦略的誤謬.クツバンはどのようなものがあるのかを説明する. <相対比較の友情> 広報のための戦略手な誤謬は,当然人の何らかの「良さ」にかかるものになる.クツバンはこれは配偶相手や,同盟相手,友人などの選択にかかるから相対的な比較が問題になるはずだと議論する. ここでクツバンはコスミデスとトゥービイの「雨の日のバンカー」の議論を紹介している. これは「銀行屋は晴れた日に傘を貸し,雨の日に

    「Why everyone (else) is a hypocrite」 第6章 その2  - shorebird 進化心理学中心の書評など
    ukeye
    ukeye 2011/06/20
  • 「Why everyone (else) is a hypocrite」 第6章 その1  - shorebird 進化心理学中心の書評など

    Why Everyone (Else) Is a Hypocrite: Evolution and the Modular Mind 作者: Robert Kurzban出版社/メーカー: Princeton Univ Pr発売日: 2011/01/03メディア: ハードカバー購入: 4人 クリック: 174回この商品を含むブログ (25件) を見る 第6章 心理的宣伝 ここからクツバンは自己欺瞞を議論していく. まず,これまで「自己欺瞞」は哲学者を悩ましてきたと話を振っている. 「なぜ人はあることを知り,かつ知らないことができるのか.そもそもだますには主体と客体が必要だ.自己欺瞞とは一体何か」 要するに哲学者は脳のモジュール性を真剣に検討できていないということなのだろう. 議論に先立って,クツバンは自己欺瞞には2種類あるとしてそれを示す. 自己欺瞞 I:もしある人が信じる誤りを周りの人も

    「Why everyone (else) is a hypocrite」 第6章 その1  - shorebird 進化心理学中心の書評など
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    ukeye 2011/06/18
  •  「利他学」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    利他学 (新潮選書) 作者: 小田亮出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2011/05/25メディア: 単行購入: 11人 クリック: 125回この商品を含むブログ (10件) を見る 書は進化心理学者小田亮によるヒトの利他行動にかかる.様々な利他行動の進化プロセスと,それに対応した至近的な心理のメカニズムを扱っている.自らのリサーチも数多く紹介してくれていて読んでいて面白い. 第1章ではティンバーゲンの4つの「なぜ」を導入に,進化適応を簡単に説明,その後利他行動の進化メカニズムを順に解説する.血縁淘汰,直接的互恵行動,間接的互恵行動,マルチレベル淘汰という順番になされている.血縁淘汰とマルチレベル淘汰周りのややこしい話は避けて,あっさりと「この考え(マルチレベル淘汰)は血縁淘汰と相反するものでなく,同じことを言っているといえる」とふれるにとどめている.そのあたりは主題ではないので深

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    ukeye
    ukeye 2011/06/18
  •  「生命の跳躍」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    生命の跳躍――進化の10大発明 作者: ニック・レーン,斉藤隆央出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2010/12/22メディア: 単行購入: 2人 クリック: 167回この商品を含むブログ (8件) を見る 書は「生と死の自然史」「ミトコンドリアが進化を決めた」などの著者である生化学者ニック・レーンによる進化における10大トピックを扱った書物である.取り上げられている10大トピックとは,生命の誕生・DNA・光合成・真核生物・有性生殖・運動・視覚・温血性・意識・死(老化)となっている.これはメイナード・スミスとサトマーリによる「主要な移行」を思い起こさせる企画だ.*1 「主要な移行」は,複製する分子から区画に囲われた分子(細胞)・染色体・DNAとタンパク質・真核細胞・有性生殖・多細胞生物・コロニー(動物の社会性)・人類の社会と言語,とされていて,比べてみると進化を眺める視点の差がう

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    ukeye
    ukeye 2011/06/09
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