「財政健全化しなければ財政破綻する」という常識に真っ向から反論するMMT(現代貨幣理論)が話題だ。「日本政府はもっと財政赤字を拡大すべき」という過激とも見える主張だけに賛否両論が渦巻いている。常識とMMTのどちらが正しいのか? 「経済学オンチ」の書籍編集者が、日本におけるMMTの第一人者である中野剛志氏に、素朴な疑問をぶつけまくってみた。(構成:ダイヤモンド社 田中泰) 【この記事の画像を見る】 ● 経済学200年の歴史で、最もスキャンダラスな理論 ――中野さんは、賛否両論を呼んでいるMMT(Modern Monetary Theory)の中心的論者であるL・ランダル・レイが書いた『MMT 現代貨幣理論入門』(2019年8月刊)の日本版の序文を書いていらっしゃいますが、どういう経緯で執筆されたのですか? 中野剛志(以下、中野) 私がはじめてMMTについて触れた『富国と強兵 地政経済学序説』