第29回 北核実験が後押しする「安倍外交」の船出 政治アナリスト 花岡 信昭氏 2006年10月10日 安倍首相の中国、韓国訪問で両国との関係改善ムードが一気に高まった。一時の「反日」ラッシュがウソのようだ。これに北朝鮮の核実験が飛び込み、「靖国」はほぼ吹き飛んだ。国内政局の側面でいえば、「ツキ」も政治力のうちである。安倍首相は政権運営の主導権を握った。 安倍首相は政権発足から2週間足らずのうちに、最大の懸案といわれていたアジア外交立て直しを実現させてしまった。首相就任前から外交ルートを通じて周到な準備を重ね、「靖国」や歴史認識問題での「あいまい戦術」が功を奏した。 安倍首相を強烈に支持する保守派にはこの対応に不満も出ているが、政治、外交は現実的結果を出して初めて評価される。その観点からすれば、一連の政治判断は確かであると言わなくてはなるまい。 北朝鮮の核実験がこれを後押しす