社会や暮らしの課題をITで解決する。菊乃井店主とバーチャルリアリティ研究者が和食とテクノロジーの未来を探るべく語り合った。 ユネスコ無形文化遺産に登録された「和食」。これまで当たり前だと思われてきた料理の方法が、テクノロジーの力で「間違っていた」と明らかにされたことをご存じだろうか。例えば出汁のとり方。水の中に昆布を入れて温度を上げていき、沸騰したら鰹節を入れてひと煮立ちさる、というのがこれまでの常識だったが、実は80度以上では「うま味」のもとであるグルタミン酸を抽出せず、60度で長時間煮るのが最もグルタミン酸が出ることがわかってきた。また、テクノロジーとうまく組み合わせることで、新たな食体験を生み出したり、その奥深さを多くの人に伝えたりしようとする試みもはじまりつつある。 そこで、美味しさを科学で解明する取り組みを研究者とともに行ってきたミシュラン三ツ星の京都の老舗料亭「菊乃井」店主の村