【モスクワ=貞広貴志】ロシア各紙は8日、菅首相がメドベージェフ露大統領の北方領土訪問を「許し難い暴挙」と批判したことを、「領土紛争が個人攻撃になった」(コメルサント紙)などと大々的に報じ、10日からの前原外相訪露を前に発言への反感が広がっている。 コメルサント紙は、タス通信のゴロブニン東京支局長による長文の記事で、首相発言を「例年は退屈な(北方領土返還要求全国)大会で爆弾が爆発した」と表現。「日本の首相がソ連・ロシアの最高指導者をこんな表現で個人攻撃したのは初めてだろう」とした上で、菅首相が、大統領と閣僚による領土訪問に対抗できなかったことで批判を浴び、「心ならずも発言を強いられた」と分析した。 1面トップで「日本の首相は外交儀礼を無視した」と報じた有力紙「独立新聞」は、「こんな雰囲気で外相が来ても、前向きのことなど何も起きない」とする専門家の見方を紹介した。