国会議事堂。 昭和11年、当時日本一の高さを誇った石造りの建物は、いまも首都・東京の顔とも言える存在だ。 「国会を東京から地方に移そう」 平成の前半、そんな計画が浮かんで、消えた。なぜ計画は、幻に終わったのか。 (宇都宮局 家喜誠也) そこは那須野が原 栃木県北部。東北自動車道・西那須野塩原インターチェンジを降りると、松林越しに豊かな自然が広がる。那須野が原だ。去年、開拓の歴史が評価され、日本遺産に選ばれた。 国道沿いに古びた看板を見つけた。「那須野が原に国会を」 そう、ここは栃木県が国会を呼び込もうとした舞台なのだ。起伏の少ない平坦な土地。確かに開発には向いている。看板は、ほかにも見つかった。 でも…本当にそんな話があったのだろうか? 国の重要テーマだった 発端は、平成の初めにさかのぼる。平成2年11月に衆参両院で「国会移転決議」が採択された。 この決議は、東京への一極集中を是正し、災害