2011年に南スーダンは分離独立を果たしたが、そのわずか2年後、サルバ・キール大統領率いるSPLM/Aと、リアク・マシャール前副大統領率いるSPLM/A-IOとの戦闘が勃発した。この際、和平調停の役割を担ったのがIGADだった。和平協議は和平合意文書へのキールらの署名という形で結実したが、1年を待たずに両軍による戦闘行為が勃発し、合意文書は死文化した。 本稿では、合意文書の締結を巡り周辺国に生じた力学を整理し、合意締結後南スーダンで勃発した武力衝突に対する国際的要因を検証することを通じて、紛争解決に対する地域機構加盟国の関与のあり方を考察する。 南スーダン共和国の紛争解決に対して、最も粘り強く関与を続けてきたのは政府間開発機構(Inter-Governmental Authority on Development: IGAD)である。IGADは、ジブチ、エチオピア、ケニア、ソマリア、スーダ