ウサイン・ボルトが五輪3連覇を達成したリオ大会のタイムに0.01秒先んじて世界最速の男になったジェイコブスは、レース後も夢見心地で母国イタリアの記者団に何度も確認した。 「信じられない。俺が本当にオリンピックで金メダルを獲った……? ちょっと待ってくれ、夢じゃないですよね? レースの後、ファイナリストの皆が祝福してくれて記念撮影したんです。(これまでの習慣で)脇に立ったら、皆が『オイオイ、勝ったのはおまえだろ。主役がセンターにいなきゃ駄目じゃないか』って。『スマン、こんな晴れ舞台に慣れてないから』って思わず謝りました」 ジェイコブスは大穴中の大穴だった。 彼の名がイタリア国内にもようやく知られるようになったのは、今年5月13日に新ナショナル・レコードとなる9秒95を出したときだ。それまでイタリア短距離界の顔といえば、18年6月に同国陸上競技史上初めて10秒の壁を破り、テレビCMにも出演する
![「スマン、こんな晴れ舞台慣れてない」 警察官なのにタトゥーでヤンチャなイタリア人が“大波乱の100m最速男”になるまで《東京五輪》(弓削高志)](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/77b7413097183d824f1beca5a9603bd7041aebb0/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fnumber.ismcdn.jp%2Fmwimgs%2Fb%2Fe%2F-%2Fimg_be6c696caf5aaae989f330273634c5e6197747.jpg)