全国有数の農業県、千葉を襲った台風15号。 建物や木々をなぎ倒した猛烈な風は、容赦なく収穫直前の農産物にも牙をむいた。収穫量、出荷量ともに全国1位を誇る名産の梨もその一つ。地面に落ちて傷つき、売り物にはならなくなった。「もう終わりだ…」。絶望の淵に立たされた農家を救ったのは、普段から付き合いの深い運送会社からの電話だった。 梨の廃棄を防ごうと県外の加工会社も全面協力、日頃の繋がりが「備え」となり、傷ついた梨が加工品へと形を変えた。(千葉日報社・山崎恵) 2019年9月9月。千葉県市川市で約200年続く老舗農家「与佐ヱ門」の8代目、田中総吉さん(48)は農園の変わり果てた姿を見て絶句した。畑を覆う網は吹き飛び、1年間手塩にかけて育てた梨が無残に転がっている。想像していた以上の被害だった。 9月中旬~10月中旬が収穫最盛期の「新高」は、収穫まであと2週間を切っていた。「今年のできは最高!」と周