「これでよく助かったと思う」と津波にのまれた施設を指さす井上利枝さん=宮城県石巻市南浜町で2010年4月15日、黒川晋史撮影 宮城県石巻市南浜町の介護施設「めだか」は建物が津波にのまれたが、施設にいた高齢者50人と職員30人の計80人は避難して全員助かった。地域ぐるみの避難訓練に熱心に取り組み、3年前の訓練は避難完了まで20分かかっていたが、昨年12月は5分までに短縮。現場を管理する介護士、井上利枝さん(67)は「避難に20分かかっていたら助からなかった」と訓練の大切さをかみしめている。【黒川晋史】 2階建ての同施設は海から200メートルほどに立地し、訪問、通所、宿泊を組み合わせた小規模多機能型サービスを展開していた。60年のチリ地震による津波被害を記憶する利用者が多く、施設側は3年前から避難訓練を強化していた。 ◇訓練で迫真の「逃げて」 年4回の訓練では、井上さんが拡声機で「逃げて」と叫