フォーサイト P0LITICS 米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設をめぐる代執行訴訟の第1回口頭弁論に出廷する直前、移設に反対する市民らによる集会に参加し激励に応える沖縄県の翁長雄志知事(中央)=2015年12月2日、沖縄県那覇市の福岡高裁那覇支部前【時事通信社】 野嶋剛 沖縄の海兵隊辺野古基地建設をめぐる日本政府と沖縄県の対立で、埋め立て工事の是非を論じる法廷での戦いが福岡高裁那覇支部で始まった。しかし、沖縄の勝ち目は薄い。沖縄問題とは何か、という論点で戦ってこそ沖縄県には戦いようがあるし、口頭弁論で翁長雄志知事は、日米同盟や沖縄の基地負担のあり方そのものを問いただす論陣を張った。しかし、日本の司法は、こうした沖縄問題の本質論については「統治行為論」という理由によって長年判断を放棄してきている。国の主張の通り、埋め立て工事の許認可に関する手続き論に論点を絞られてしまうと、国の勝率はど