「升田幸三がGHQを論破した! だから将棋は禁止されなかった!」 そんな調子の話が、ネット上では周期的にバズるようです。事実なのか。それとも創作なのか。最初に筆者の見解をまとめると、次の通りです。 ・1947年に升田幸三八段(当時、のちに名人)がGHQに呼ばれたのは事実と見るのが妥当。 ・升田八段が将棋とチェスの比較論を展開し、GHQ高官たちの度肝を抜いた話は具体的かつ詳細で、大筋で本当ではないかと思われる。 ・ただし伝わっているのは升田本人の証言のみ。相手方の速記録などは知られておらず、どこまで本当かは現在のところ、確かめようがない。 ・「升田がGHQの高官たちを『論破』したから将棋は禁止されなかった」という史実はおそらくない。升田自身もそんなことは言っていない。 筆者がいま参照できる資料の限りでは、升田著『歩を金にする法』(1963年、講談社刊)での一文が、この件に関するもっとも古い記
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