ステファニー・オーバビー ● text by Stephanie Overby 高い目標を設定するのが良いことだとは限らない 「目標を持っていれば、たとえ倉庫番からのスタートでも、歴史を変える人物になれる可能性がある。しかし、目標を持っていないのなら、倉庫番のままでいるしかない」――これは、米国の大手百貨店チェーン、J.C.ペニーの創業者であるジェイムズ・キャッシュ・ペニー氏が言ったとされる言葉だ。 この数十年間、世のビジネス・スクールでは目標を設定することの重要性が声高に叫ばれ、さらに目標は野心的であればあるほど良いとされてきた。実際、多くの企業では、「高い業績目標がもたらす効果」を前提とした文化が確立されているし、歴史を振り返ってみれば、困難な目標を掲げたことが目覚ましい成功につながった例は枚挙にいとまがない。もし「壮大な目標は達成することができない」のだとすれば、40年前の月面着陸