社会的役割や地位が伴う人間には適切な言論が求められる。これは周囲からの役割期待であると同時に、自身のステイタスの維持のためにも必要な行為である。そういう人間が適切な言論から逸脱する言論を発する行為は、人間味を出し好感度を上げるという恣意的な目的で昔から稀に行われることがあるが、近年の日本ではバックラッシュとしての本音言説がよく見られる。 これは戦後の日本において、より民主的な発言をする人間にステイタスを与える風潮が醸造されたことにより、言葉狩りのような状況に追い込まれた人々の鬱積した気持ちが爆発し、バックラッシュとなったものと思われる。石原都知事の三国人発言がスルーされたのが特徴的だ。 ただこの本音垂れ流し言説が余りにも蔓延し、麻痺してきたようにも思われる。最近では東横インの西田憲正社長の発言が記憶に新しい。彼は不正改造の指摘を受けた後の記者会見で「年に1〜2人しか泊まらないし、通常の客に