ブックマーク / sagasitasekai.com (11)

  • 神保町の古本屋とドストエフスキーとベルジャーエフとソロヴィヨフのこと - 失われた世界を探して

    子供のころからが大好きで、図書館が小学生時代の僕のお気に入りの場所だった。そしてそのまま大人になり、読書好きは大学生の頃にMAXを迎えた。当時はヘビースモーカーだったから(その後やめたけど)、セブンスターをスパスパ吸いながら一晩中、煙でモヤのかかった部屋でを読み、朝になっても読み、そのまま昼前まで読み続けて、疲れて机の上でうつ伏せになって眠り、目が覚めたら日が暮れていた。電気をつけ、カップラーメンをすすったら、また煙草に火をつけてを読み始める。そんな感じだった。 今は仕事で疲れた目を休めたいのと(会議までTeamsになったので、ずっとPCのディスプレイを見続けている)、老眼がひどくなって来たせいで全然を読まなくなったが、人生をちょっと無駄にしているかも、なんてまた最近は思い始めた。人生を豊かにする、というのは古今東西、世界中で言われて来たことだ。 読書好きがピークだったそんな大

    神保町の古本屋とドストエフスキーとベルジャーエフとソロヴィヨフのこと - 失われた世界を探して
  • 南国の人々の逞しさと生きる喜びは、きっと強い太陽の眼差しのおかげだと思ったこと - 失われた世界を探して

    いきなり行けと言われてたった10日間で準備し、アセアンの工場へ飛び立った。そこからは毎日が仕事だ。朝から夜中まで、その生まれたての工場で、僕は現地のニューカマーたち相手に死に物狂いで働き、運用を立て直し、日の部隊と会議を重ねて必要な技術支援を要請し、また現場へ走って、それは土曜日の深夜まで及んだ。日曜日はホテルの部屋から一歩も出ず、朝から晩までかけて報告書を作成し、また月曜日の朝がやって来る。そんな1か月だ。 南国の人々は控えめで大人しく、一生懸命だった。この日からやって来た丸い目の日人の、いかにも日人がやりそうな緻密な管理、細かいゴール(納期)の設定、整理し順序立てられたプロセスの指導に対し、最初は遠巻きに、少しずつほだされて自分たちなりにチャレンジを始め、褒められて、前のめりに頑張り始めた。 ウン、アジアの人々は、それぞれの国で組織の動かし方とか、大事にしていること、傷つけては

    南国の人々の逞しさと生きる喜びは、きっと強い太陽の眼差しのおかげだと思ったこと - 失われた世界を探して
  • 日常って失って初めて大切さに気づくという当たり前を改めて感じながら、それでも向こう側に光があると死体のように眠りながら確信すること - 失われた世界を探して

    パンデミックは第6波という。 ちょうど2年前、中国大陸では新しいウィルスのせいで大変なことになっていて、工場が動かない、さあ大変だ、日で慌ててラインを作ってバックアップ生産しなきゃ、ん?中国でしか調達できない部品はどうするんだ?なんて大騒ぎが始まった。 そこから今度は日の第1波、それからあっという間にアセアンのパンデミック、ロックダウンに伴って部品や材料が入ってこない、船も飛行機も遅延しまくる、さあいよいよモノづくりはストップか?、いやいやまだ手はある、あきらめちゃいけない、なんて夜な夜な昭和世代が集まってプロジェクトXをやり続け、もう2年がたつ。 そしてまだ、過労死直前の残業にまみれ、昭和世代はプロジェクトXを続けている。 一方、令和時代の若者たちはちょっと遠目に、なんかオジサンたち、むっちゃ殺気立って迫力あるな、怖いな、なんか言われたら逃げる準備しよう、なんて構えて見ている。 そう

    日常って失って初めて大切さに気づくという当たり前を改めて感じながら、それでも向こう側に光があると死体のように眠りながら確信すること - 失われた世界を探して
  • 九州一周旅行の最後に機内で人生をしみじみ考え込んでしまったこと - 失われた世界を探して

    九州一周旅行はいよいよ終盤に入った。延岡の安いビジネスホテルを早朝に出発し、僕たちは高千穂に向かった。神が降臨したというあの高千穂だ。古代史が大好きな家人が、吉野ケ里遺跡に次いで楽しみにしている場所だった。 高千穂は想像以上に山間にあって11月ということもあり、さすがに肌寒かった。実は4日前に博多空港に降り立った時から「やっぱ九州、暖かいや」と思っていたし、指宿ではなんだか秋の始めくらいの気候に感じたから、高千穂の冷たい空気が、ちょっとピリッと気を引き締めた。そうそう、ここは信仰の対象となる神聖な場所なんだ。 とはいえ、やはり僕たちは観光客なので、そそくさとボート乗り場に向かい、「よかったぁ、平日の早い時間なら並ばないってホントだったんだ」なんて思いながら、ボートに乗り込む。 漕ぎ出すとすぐに、テレビや雑誌で見るあの光景が向こう側に見えてきた。大興奮だ。でもここは神聖な場所だから大はしゃぎ

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  • クラシックカメラにフィルムを装填し、空っぽの世界に静かな戦いを挑むこと - 失われた世界を探して

    ロスジェネの一人として腐らずに諦めずに、日々の生活はしみじみと楽しむことにしているが、その中でスローライフというのは重要なキーワード。立ち止まってゆっくりとプロセスを味わう、が静かな僕たちの戦いだ。 そんなスローライフの一つとして、クラシックカメラでじっくり手間暇(てまひま)をかけて、美しいと思った風景や、感動した場面を絵画のように切り取る、というのを時々やっている。ありきたりだけど、フィルムを装填する、シャッター速度と絞りを決める、構図を決める、そしてパシャリとボタンを押す、という一連の過程が、普段の仕事の時間なんかと全然違うリズムで流れていて、当に楽しい。 もともとは父親の形見のマニュアルカメラをいじっているうちに色々調べ、興味を持ってあれこれ調べているうちに、欲しいクラシックカメラが出て来て中古市へ探しに行き、手に取って撮影するうちに、そのフィルム独特の優しいボケ味とか色彩、それか

    クラシックカメラにフィルムを装填し、空っぽの世界に静かな戦いを挑むこと - 失われた世界を探して
  • 365日のベッドタイムストーリーは結局、その4倍もの期間を海外で一緒に過ごしてくれたこと - 失われた世界を探して

    海外へ赴任するとき、行き先があんまりにも僻地で、事前情報ではネットもちゃんと繋がらないし、言葉も通じないし、テレビで日語の番組も映らないし、ということだったので、仕事以外の時間は気がおかしくなるのでは?と不安な点もあり、日から送る荷物に大量の書籍を入れた。 ミステリーから古典から詩集から評論から、とにかくそれまで繰り返し読んできた書籍で、向こうへ行っても繰り返し読めるものだった。 あと現地の交通事情(マナー?)が悪すぎて、会社の規定で自ら車を運転することは禁止されていたので、ドライブさえ出来ないなんてこれも大きなストレスかな?と思い、プレステとグランツーリスモも送り込んだ。ホテルの部屋でコントローラーを手に、ポルシェにでも乗って延々とTV画面の中を走り続け「無」になろうかな、なんて考えていた。 初めての海外赴任で、それくらい不安だったんだね。。 で、いよいよ出発する日、空港まで見送りに

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  • ダイバーシティって言葉を聞くとアジアの山奥でいろんな料理を食べた経験を思い出すこと - 失われた世界を探して

    ダイバーシティという言葉が会社の研修などで頻繁に出てくるようになってだいぶたつけど、多様性の受容というのは口で言うほど簡単ではない。だって自分が生きて来て自分という人生を必死で乗り切ってきた過程では、「世界中の誰がなんと言おうと自分が好きなのはこれだ。正しいと思うのはこれだ。」という一つ一つの信念とか情熱を積み上げてきた歴史があり、それは裏返せば「でもいろんな価値観もあっていいよねぇ、なんてあっさり言えね~や」という音があるからだ。価値に付随する信念というものはそういうものだ。 一方、恵まれた環境でのほほんと生きて来れた人々は、「自分はこれがいいと思うけど、押し付けないよ。あなたはそれがいいと思うなら尊重します」と言えるかもしれない。だって、別に死に物狂いで「自分はこれがいいんだ」なんて構えなくても、人生を豊かにのんびり生きて来れたし、これからも生きて行けるからだ。価値の構築に情熱や信念

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  • 熊本ラーメンへの敬意と薩摩の国で途方もなく美しい風景を見たこと - 失われた世界を探して

    九州一周旅行は続く。嬉野温泉から鹿児島へ向かう途中、熊に立ち寄った。熊城は震災の修理で近づけなかったけど、遠くから見てもその雄姿に心打たれた。熊の人々は当に誇りに思っているんだろうなと思った。あんな雄々しいお城は他に見たことがない。清正という男を想像し、向こうに見える天守をしばらく眺めた。 熊はどのみち数日後に阿蘇に戻って来る予定で、まずは鹿児島まで走り切ってしまおうと思ったけど、やっぱり熊ラーメンべたい。からし蓮根もべたい。と思い始めたらまっすぐ走れなくなった。 ということで熊空港へ寄り道して2つともべた。当はちゃんと市内の有名店なんかを調べて時間を割いて行きたかったけど、その日のうちに鹿児島へ移動する必要があったので、両方いっぺんに揃っている上に味も評価が高かった空港の店でした。これまた美味しい! よくインスタントラーメンで熊ラーメンを銘打って売っているが、

    熊本ラーメンへの敬意と薩摩の国で途方もなく美しい風景を見たこと - 失われた世界を探して
  • ハイラインの「宇宙の戦士」で学生寮の生活を思い出し、そのあとのサラリーマン生活の修羅場を思い出したこと - 失われた世界を探して

    子供のころから乱読するタイプで、SFも結構読んだ。もちろんジュール・ベルヌの作品群は小学生だった僕の経典だ。生まれて初めて自分のお小遣いで買ったハードカバーの書籍が「二年間の休暇」だったし、これがあんまりお気に入りの物語だったので、何回も読んだ挙句、自分で原稿用紙に同じようなストーリー(無人島に流された少年が冒険するお話)を書き始めたくらいだ。小学生の頃の僕の夢は、小説家になることだった。 そして兄貴のすすめで読んでいた作家の1人にハイラインがいる。ロバート・A・ハイライン、右翼と言われつつも「2001年宇宙の旅」を書いたアーサー・C・クラークたちと並んでSF界のビッグスリーと呼ばれたその人だ。 ハイラインの小説のうち、日では「夏への扉」が大人気で、最近でも邦画として映画化されていたと思うが、僕はやはり「宇宙の戦士」こそが一番面白いと思っていた。そしてまさに、この小説のおかげでハイライン

    ハイラインの「宇宙の戦士」で学生寮の生活を思い出し、そのあとのサラリーマン生活の修羅場を思い出したこと - 失われた世界を探して
  • 九州の魅力は食いしん坊にとっては底がないということ - 失われた世界を探して

    九州一周旅行は博多のい倒れから始まり、いよいよレンタカーに乗って走り出した。長崎方面に行くから、喜ぶかなと思って家人にハウステンボスで遊ぼうなんて誘ったら、「吉野ケ里遺跡へ行きたい」とのこと。そうか、この人は古代史が大好きで、一人で古墳巡りをやっている人だった事を思い出した。古墳のほとんどは小山の前に看板があってそこに解説が書いてあり、逆にそれを読まなければただの小山にしか見えない。が、そんな小山の前の看板の写真(どれも同じに見える)をたくさん集めているのが家人だ。僕はがぜん昭和の男子として歴史は戦国時代が大好きだから、あんまり古代に興味もなかったが、今回の旅の目的として家人の接待を最優先とし、僕たちは吉野ケ里遺跡に車を走らせた。 すごく大きい!広い!砦の入り口からすでに期待でいっぱいだった。 上機嫌の家人に引っ張られてどんどん奥に進んでいく。弥生時代の住居が復元され、その当時の人々の暮

    九州の魅力は食いしん坊にとっては底がないということ - 失われた世界を探して
  • Something ELse はジャズのド定番過ぎるけどペーパードライバー脱却に必要だったのでこれを書かずにはいられないこと - 失われた世界を探して

    ジャズが大好きだ。これは父親の影響だ。で、だいたいジャズ好きっていうと、あんまり有名どころは敢えて外して、ちょっとマニアックなところを「コレが好き」と言いたがるものだけど、僕は全然フツーに、ド定番を「大好き」という。だって、ド定番ということは、モーツァルトの楽曲と同じで、この先、何百年も人々から愛されるだろうってことだからだ。それくらい完璧!ということである。だから、そりゃそうだよねって感じで僕はフツーに「大好き」という。 Something ELseはマイルス・デイビスとかキャノンボール・アダレイとかアート・ブレイキーとか、要するにそれぞれの楽器の神様みたいな人たちが一堂に会したアルバムだ。そりゃトンデモない作品に仕上がって当たり前な話だ。で、僕はこのアルバムを、子供の頃に父親の仕事場で耳にして、そのあと大人になってから「あぁ聞いたことあるよ」って思い出して、そのあと自分でCDを買って来

    Something ELse はジャズのド定番過ぎるけどペーパードライバー脱却に必要だったのでこれを書かずにはいられないこと - 失われた世界を探して
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