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増田太一に関するusaginokainushiのブックマーク (4)

  • 察しのいい女

    1 「起きろーー!」 娘の声に促されて1階に降りると、 夫が朝を用意してくれていた。 十八番のスフレ風オムレツに、 ベーコン、レタス、トマト、トースト。 目覚まし代わりに 淹れたてのコーヒーをすする。 「今日は休みなんだっけ?」 「そ。ぽっかりスケジュールが空いてね。 ま、いーかって。ジム行くことにした」 スポーツバッグを抱えて玄関を出て、 ジムへ向かう道……、から 途中で逸れて駅へ。 跨線橋の階段から最も遠い位置で電車を待ち、 人もまばらな車両に乗り込んで、 ポーチを取り出す。 車内で化粧するという行為を、 昔は全く理解できなかったけれど、 今は、その理由の一つだけは分かるようになった。 太陽から隔絶された数時間を先輩と過ごし、 駅ビルの寿司屋へ。 カウンターに並んで座り、 刺身をつまみにビールグラスを傾けながら、 先輩の変わらぬ……少し変わったかな?……横顔を見て、 人生は面白いと、

    察しのいい女
  • 春の終わりの不倫

    日曜日。 息子はリトルリーグの試合、 はその付き添いで、 朝早くから出掛けている。 私はキッチンテーブルに置かれていた お弁当の残り物とご飯を電子レンジで温める。 身支度をととのえ、 試合をしているグラウンドとは逆方向の電車に乗り、 終点に着くと、改札の先で、 大学の後輩であり、 友人でもある彼女が待っていた。 「ジムに行くって出てきました。 ある意味、運動するんですから、ウソじゃありませんよね」 小さなスポーツバッグを胸に抱えながら、 いたずらっ子のような表情を見せる彼女は、 サークル勧誘で初めて声を掛けたあのころと、 少しも変わらない。 「うわ、日がたかいですね!」 ホテルを出ると、彼女は目を細めながら、 ちょっとうれしそうに、声を上げる。 10分ほど歩いて駅ビルのお寿司屋に入り、 お刺身と焼き物とビール。 「運動の後のお酒はおいしいですね」と 冗談っぽくはしゃぐ彼女に、ほほ笑み

    春の終わりの不倫
    usaginokainushi
    usaginokainushi 2017/06/08
    すごい!部下!て1個前のやつのもうすぐ結婚する人なのかな。次回に期待。
  • あと数回の合鍵

    朝、早く目が覚めたので、 娘や嫁が起きないうちに朝を作る。 卵白をメレンゲにし、黄身を軽く混ぜてスフレ風オムレツに。 カリカリのベーコン、レタス、トマト。 パンをトーストしながらコーヒーを淹れているうちに 娘が下りてきた。いいタイミング。 「お母さんを呼んでおいで」 友だちと買い物だという娘と、 ジムへ行く嫁を見送り、 シャワーを浴びて、彼女の家に行く。 昨日は結婚式の打ち合わせの後、 お酒を飲んでそのまま帰ったと聞いている。 まだ寝ているかな、と チャイムを鳴らさず合鍵で家に入ると、 彼女はもう起きていた。 片手で鍵を閉めながら、 空いた片手で彼女の腰を抱き寄せる。 彼女は10月に挙式する。 9月にはこの部屋を引き払って、 一緒の生活を始めるというから、 鍵穴に差し込む、この合鍵の役割も あと数回で終わるのかな。 「もうすぐ結婚なのに、いいの?」 そう尋ねると、彼女は「いいの」と 甘え

    あと数回の合鍵
  • 母と父はお互いにウソをついている

    日曜日のことだ。 母はジムへ行くと言って出掛けていった。 私もその少し後に家を出て、 駅で友だちと合流してホームに入ったのだけれど、 反対側のホームの先に、母の姿を見掛けたのだ。 もちろん、母の通うジムは、電車を使う必要がない。 (というか、意味がない) あれ?と声が出てしまったけれど、 友だちには理由を話してはいけない気がして、 何でもない、とごまかした。 夕方前に帰宅すると、母もすでに帰ってきていた。 私は洗面所で手を洗い、何気なく洗濯機の中をのぞき込んで、また、 あれ?と思った。 トレーニングウェアが入っていなかったからだ。 トレーニングウェアや、私の体操着など、汗を吸った衣類は、 そのまま放置するのが嫌だからと、いつもなら 洗濯槽に水を張り、漂白剤を入れて漬けておくのに、 それがなかったのだ。 帰ってすぐに洗濯して干したのかな、と思ったのだけれど、 後で母が言うには、ジム仲間とラン

    母と父はお互いにウソをついている
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