来年のNHK大河ドラマ「平清盛」の時代考証に史学者の本郷和人氏が入ると聞いて、その趣向の書籍だろうと、とりあえず買ってみた。当たりだった。書籍としての構成、特に章構成はやや緩くも思えたが、随所にエキサイティングな話題がある。歴史愛好家にはたまらない一冊と言えるだろう。 本書を読み始めて何より「あっ」っと不意を突かれたのは、「平清盛」というのは天皇制の物語なのだということだ。言われてみれば当たり前でもある。親皇として表面的に対立した平将門などのほうが天皇制を外的に意識しやすいが、天皇制の内実を捉えるという点では「平清盛」はその特徴をよく表すことになる。 おそらくだが、お茶の間的にはさほど違和感なく受け入れられてしまうだろうが、天皇家を「王家」として扱うのはNHK大河ドラマでは初めてのことになる。天皇家は王家で当たり前。皇室でも「天皇」でもないのである。そういう感覚がようやく日本国市民の常識に