「加藤周一著作集8」加藤周一 平凡社 1979 理想主義がないということと、現状を現状であるからという理由で容認するのとは同じことである。 天皇制を論ず 1946年 敗戦の翌年に書かれた文章。加藤は27歳とまだ若い。天皇制を速やかにやめねばならないと論じてゐる。 我々は決して忘れてはならない、日本的とは封建的と云うことに他ならず、日本の一切を代表したあの貧しい農民の存在は正に明治維新が予定し、実行した第一のプログラムであったと云うことを。そしてそれは絶対王政を中心としてのみ可能であり、資本主義社会の民主主義化を永久に妨げる封建主義をあのように強固に保存するためには天皇制が必要であり、天皇制のみが必要であったということを。嘗て中世宇宙の中心には地球があった如く、封建的農村の中心には最大の地主天皇があり軍国主義者の中心には大元帥陛下天皇があった。 そしてこの封建的性格とそれに由来する軍国主義的