将棋世界1992年8月号、内藤國雄九段の連載エッセイ「真剣勝負の話」より。 宮本武蔵は一生の間に50数回の決闘をし、敗れることなしと自ら語っている。 そのうち幾度かは木刀や薪、船の櫓などいわゆる真剣でないものも用いている。しかしそれで相手を叩き殺しているから真剣勝負の名にはじない。真剣勝負とは生命を賭けた勝負のことで本当の真剣、つまり切れる刀を用いるかどうかは問題でない。 以前、ある雑誌社が全国のアマ将棋強豪に「将棋が強くなる方法」についてアンケートをとったことがある。なかに「真剣をすること」という回答があった。武士の真剣勝負は命を賭けることだが、将棋の場合は金銭を賭けることである。金銭が賭けられると真剣さが加わるという意味合いから、この言葉が使われるようになったものと思われるが、正しい由来はつかめない。 この真剣の意味は将棋だけのものらしく、囲碁や花札などでは用いられていないようだ(因み
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