2022年10月30日、ブラジルの今後を大きく左右する大統領選決選投票が実施された。電子投票を通じて集約された有権者の声は即日開票され、有効票の50.9%を獲得した労働者党(PT)のルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルヴァ元大統領(以下、ルーラ)の返り咲きが決まった。しかし、有効票の49.1%を得た現職のジャイール・ボルソナロ大統領(自由党、PL)との差はわずかであり、選挙結果に不満を持つボルソナロ支持者が道路封鎖や通行の一部妨害を行った1 。また、すでに政権移行チームが発足し、2023年1月1日の新政権発足に向けた動きが進んでいるが、首都ブラジリアの陸軍総司令部前や各地の地域軍司令部前などでは軍の介入に期待するデモも断続的に発生している2 。 連続再選が可能になった1997年以降現職としては初めて落選したボルソナロであるが、選挙直前には現金給付策などによる上昇がみられたものの、政権支持率は