タグ

ブックマーク / blog.tatsuru.com (49)

  • 親密圏と家族 - 内田樹の研究室

    N経済新聞社から難波の個室ビデオ放火殺人事件についての電話コメントを求められる。 別にこの事件に興味ないんですけど・・・と言いながら結局40分くらいしゃべってしまう。 容疑者は46歳で、もとM下電器のサラリーマンである。ちゃんと学校を出て、結婚もし、子もあり、家もあった「中流の人」である。 それがここまで一気に転落する。 転落を途中でい止めるための「セーフティネット」が機能していなかったということである。 親から家を相続して、それを売ってしばらく糊口をしのいだ時期がある。親からの贈与が「セーフティネット」として一時的には機能したのである。 けれども、それに続くものはもうなかった。 現代社会に「セーフティネットがない」ということ、その整備が必要であることは政治学者も社会学者も心理学者も指摘する。 けれども、その場合の「セーフティネット」とはいったい何のことなのだろう。 行政による貧窮者へ

    usukeimada
    usukeimada 2008/10/15
    上野千鶴子への手紙。フェミニズムは親密圏、親密圏っていうけども、その具体的イメージっていうのはいつまで経っても乏しいまま。。
  • ノーベル文学賞の日 - 内田樹の研究室

    今日はいよいよノーベル文学賞の発表である。 村上春樹氏ははたして今年ノーベル文学賞を受賞するであろうか。 物理学賞、化学賞と立て続けに日人受賞者が輩出しているので、今年は「日イヤー」になるかも知れない。 というわけで、新聞社から「村上春樹ノーベル文学賞受賞のコメント」の予定稿を求められる。 今回は S 新聞、K 新聞、Y 新聞の3紙から求められた。 S 新聞には過去2回書いているので「三度目の正直」。 私のような門外漢に依頼がくるのは、批評家たちの多くがこの件についてのコメントをいやがるからである。 加藤典洋さんのように、これまで村上文学の世界性について長期的に考えてきた批評家以外は、村上春樹を組織的に無視してきたことの説明が立たないから、書きようがないのである。 だが、説明がつかないから黙っているというのでは批評家の筋目が通るまい。 批評家というのは「説明できないこと」にひきつけられ

    usukeimada
    usukeimada 2008/10/09
    「批評家というのは「説明できないこと」にひきつけられる知性のことではないのか。」
  • 『秋日和』と『すーちゃん』 - 内田樹の研究室

    5時半に目が覚めてしまった。 8時くらいまで寝ていたいのだが、寝付けない。しかたがないので、起き出して『日の論点』の「非婚」についての原稿に手を入れる。 これはブザンソンで原型を書いたのだが、「結婚したくない人」と「結婚したいけれど、機会に恵まれない人」を同じ「非婚」というカテゴリーにくくって論じるのは、やっぱり無理があるよな、と昨日の夜、『秋日和』を見たあとにベッドの中で、益田ミリの『すーちゃん』を読んでいて感じたのである。 『秋日和』は1960年の映画で、例のごとく「なかなか結婚しない娘(司葉子)を結婚させる」ために佐分利信、中村伸郎、北竜二の三人のおじさんたちが暗躍するという話である。 あまりに面白くて、何度も笑い出してしまった。 バーのカウンターでパイプで鼻翼をこすりながら「急いじゃいかん」という場面とか、「じゃあ、リンゴも俺がったことになってるんですね」とか、佐分利信があの「

    usukeimada
    usukeimada 2008/09/14
    「若者が結婚したくなくなった」のではなく、「お見合いおばさん」を始めとする社会からの「成熟圧」の喪失が非婚・晩婚化の原因では?という話
  • 『学び合い』フォーラム (内田樹の研究室)

    8月8日、9日は新潟に「第四回教室『学び合い』フォーラム2008」の講演に出かける。 『学び合い』というのは上越教育大学の西川純先生が提唱しているきわめて斬新な教育法である。 小中学校において劇的な効果を上げて、今全国の教室に拡がり始めている。 フォーラムはその実践者(およびこれから実践しようとしている)教員たちが日中から集まって、公開ゼミや模擬授業をするというイベントである。 と、わかったようなことを書いているが、そんなことは行くまで知らなかった。 教育現場からのお声掛かりであれば、できるかぎり講演のオッファーは受諾すると言っている手前、引き受けたものの、「この暑い中、新潟は遠いなあ」とぐったりしながらでかけたのである。 行ってびっくりした。 教師たちの集まりにはずいぶんお呼びいただいたけれど、正直言って、聴衆の熱意には天と地ほどの差がある。 ぼんやり講壇を見ているだけで、寝ている人間

    usukeimada
    usukeimada 2008/08/10
    >学ぶべき情報」に引きつけられる感覚というのは、人間の成長にとって死活的に重要なのである。/確かに。勉強できない人ほど教科書を読まないのが多いと思う。だからちっとは読めってw
  • 大学が生き延びるために - 内田樹の研究室

    いつも大学情報を教えてくれるコバヤシさんから、「ちょっとショッキングな話」を教えていただいた。 大阪府吹田市のある大学(気の毒なので名を秘す)に、08年、現代社会学部が新設された。 しかし、来年(09年)、この学部は募集停止になる。 おそらく大幅な定員割れだったと想定される(受験者は20人余。入学者は非公開)。 もう一つ、これも関西のある大学の話。 この大学は08年度から人間教育学部を新設した。 1966年に開学したときの文学部を94年に募集停止して、国際文化学部を設置(文化学科、言語コミュニケーション学科)。02年に情報コミュニケーション学科を設置した。 文学部から国際文化学部への事実上の改組であるが、それも12年しか保たなかった。 06年に国際文化学部が募集停止。そして人間教育学部に衣替えしたのである。 冷たいことを言うようだけれど、この人間教育学部も長くは保たないように思う。 これら

    usukeimada
    usukeimada 2008/08/08
    極端な話ね。みんなものを考えたくないんだよね。しんどいから。だからとりあえずアタってるもののマネしよ~ってなる。
  • 「著者様」と呼ばれて (内田樹の研究室)

    とある進学教室から「著作物の無断使用についてのお詫びとお願い」という文書が届いた。 塾内教材として、これまで私の著作物を何度か使用していたが、「この度、他の著者様から著作物の無断使用についてご指摘をいただきまして、社内で調査致しましたところ、先生の作品を過去に無断で使用していた期間がございましたので、過去の使用についてご清算をさせて頂きたく、書類をお送りさせて頂きます」とあった。 6万円ほどの著作料が入金されるそうである。 何もしないで6万円いただけるのはありがたいが、何となく気分が片づかない。 何もしていないのに、そんな大金をいただく「いわれ」がないような気がするからである。 そもそも「著者様」というワーディングが「怪しい」。 なくてもいいところに「様」がつくときは眉に唾をつけることにしている。 何年か前から病院では「患者様」という呼称が厚労省の行政指導で導入された。 そのあとどういうこ

    usukeimada
    usukeimada 2008/08/07
    >「予告編」のようなものである  確かに。現国の試験問題とかで解きながら、「後でしっかり読みたいなぁ」と思った作品いっぱいあったもんなぁ。あっ、試験のデキとは別に相関しないけどw
  • Twisted Navel - 内田樹の研究室

    久しぶりのオフなので、家で仕事。 PHPのインタビュー原稿を仕上げて送稿。AERAの原稿を仕上げて送稿。続いて、レヴィナス『困難な自由』の三校。日がとっぷり暮れた頃にようやく終わる。 これでおしまい。 ゲラの奥付を見ると、7月15日発行となっている。 ずいぶん遅れてしまったものである(ひとごとではない)。 それでも、秋にはになるはずである。 改訳の作業を始めてから10年かかったことになる。 日経新聞から八王子で起きた無差別殺人事件についてのコメントを求める電話がかかってくる。 繰り返し書いているとおり、このような「コピー・キャットによる無差別殺人」は質的にメディア・オリエンテッドな犯罪であり、「メディアが大きく取り上げる」ことそのものが犯行の目的の一部をなしている。 だから、メディアがこの事件を大きく取り上げ、「識者のコメント」などで事件の原因や背景やらを論じ立てることそれ自体が事後従

  • コピーキャット社会 - 内田樹の研究室

    『こんな日でよかったね』(バジリコ)がもうすぐ発売される。 まだ書店には配架されていないが、すでに重刷が決まったそうである。 ネット「青田買い」してくださる読者のみなさんのおかげである。 自分でいうのもなんですけれど、たいへん面白いです。 ところが、読んでいるうちにすごい誤記を発見する。 261頁に「ナチスドイツの宣伝相であったゲーリングは」とあるのだが、これは誰が何と言っても「ゲッベルス」の間違いである。 ゲーリングはゲシュタポと空軍の創設者の方である。 「ゲーリング」ヴァージョンを買ってしまった方は、稀覯書を手に入れたと思ってください。三刷りからは直しておきます。 (と書いたあとにネットで調べたら、amazonで46位、bk1では全体で3位、社会で1位になっていた。もう書店に並んでいるのであろう。1位というのははじめてのことなので、これはたいへんうれしいです。お買い上げのみなさん、あ

    usukeimada
    usukeimada 2008/07/15
    犯罪者の深層心理を暴こうとする試みこそが、犯罪者にとっては織り込み済みであるという話
  • 裁判員制度は大丈夫? - 内田樹の研究室

    四回生のゼミは裁判員制度。 あと1年ほどで制度が導入される。 ゼミでこの件について論じるのはもう4回目である。 毎回学生さんたちはなんとなく片付かない顔になる。 そもそも、この制度を「導入しよう」と言い出したのは誰なのか。 それがわからないのである。 「導入しよう」と言い出した以上は、その人たちにとっては、制度の導入によって何らかの利益が見込めると思ったはずである。 何の利益か。 それがわからない。 法務省にとって、この制度の導入はどんな利益があるのか。 最高裁の HP にはこう書いてある。 「国民のみなさんが刑事裁判に参加することにより,裁判が身近で分かりやすいものとなり,司法に対する国民のみなさんの信頼の向上につながることが期待されています。」 なんということもない文言であるが、こういうことを最高裁が言い出すということは言い換えれば、「裁判が身近ではなく、わかりにくく、司法に対する国民

    usukeimada
    usukeimada 2008/07/12
    あるシステムに不具合が生じたとき、専門家によるより潜密な精査は行われたとしても、全くのド素人を招き入れることは普通ありえないという話。