ブックマーク / natgeo.nikkeibp.co.jp (16)

  • 人の顔を認識できない「相貌失認」は意外に多い? 最大5%にも

    親しい人の顔を覚えられなかったり、目の前にいる人の顔を識別できなかったりする「相貌失認」の人は、これまで考えられていたよりも多い可能性が研究で明らかになった。(PHOTOGRAPH BY BALLBURN_PHOTOGRAPHY, GETTY IMAGES) 伝説の霊長類学者ジェーン・グドール氏、俳優のブラッド・ピット氏、そして『と帽子をまちがえた男』の著者として知られる神経学者の故オリバー・サックス氏の共通点は何か? 答えは親しい人や有名人の顔を覚えられなかったり、見分けがつかなかったりする「相貌失認(そうぼうしつにん)」だ。 長年、相貌失認はまれな障害とされてきたが、2023年に学術誌「Cortex」に掲載された論文によれば、相貌失認の人はこれまで考えられていたよりも多い可能性があるという。この研究では、相貌失認の重さや症状は連続的で、その有無を単純に判定できず、使用する基準によって

    人の顔を認識できない「相貌失認」は意外に多い? 最大5%にも
  • ギザの大ピラミッド、4500年前の「建造日誌」が残っていた

    紅海のエジプト沿岸に、ワディ・エル・ジャラフという4000年以上前の古代遺跡がある。遠く海の向こうにシナイ半島を望むこの遺跡で2013年、歴史的発見がなされた。石灰岩で作られた坑道のなかで、世界最古のパピルス文書が30巻見つかったのだ。 古さもさることながら、注目すべきは書かれている内容だ。この「紅海文書」と呼ばれるものは、その昔にぎやかな港として栄えたワディ・エル・ジャラフについて明らかにしているだけでなく、クフ王の大ピラミッド建造に直接関わっていたメレルという人物の日誌も含んでいた。(参考記事:「“永遠”のギザの三大ピラミッドはどう建てた? 謎の空間も発見」) ワディ・エル・ジャラフの遺跡が最初に発見されたのは1823年。発見者の英国人旅行家で古物収集家のジョン・ガードナー・ウィルキンソンは、これをギリシャ・ローマ時代のネクロポリス(共同墓地)だと考えた。その後1950年代に、考古学好

    ギザの大ピラミッド、4500年前の「建造日誌」が残っていた
  • 生命はどのように誕生したのか、知っておきたい3つの仮説

    生命の最初の兆候は、約35億年前までに出現した。科学者たちは、初期の生命は落雷によって形成されたか、深海の噴出孔で誕生したのではないかと考えている。(ILLUSTRATION BY GREGOIRE CIRADE, SCIENCE PHOTO LIBRARY) 約46億年前に地球ができてから数億年の間、地表はほぼ確実に高温で、彗星や小惑星の衝突も激しかったため、いかなる生命体も生息できない環境にあった。だが、約10億年後には、生命が誕生しただけでなく、微生物マット(微生物がマット状にかたまって増殖した状態)の化石という形で痕跡を残すまでになっていた。(参考記事:「40億年前の地球は生命誕生の「温床」だった」) その間に一体何が起こったのか? 5億年かそこらの間に、生命はどのようにして無生物から誕生したのだろうか。これまでに提唱された3つの主な理論を紹介しよう。 1. 大気から雷によって生ま

    生命はどのように誕生したのか、知っておきたい3つの仮説
  • 見事なヒスイの石仮面を古代マヤの王墓で発見、「闇の時代」に光

    翡翠(ヒスイ)のモザイクでできた小さな仮面。目と歯にはウミギクガイの殻が使われ、嵐の神を表している。紀元350年ごろにチョチキタムに埋葬された王の胸の上に置かれていた。(PHOTOGRAPH BY RUBÉN SALGADO ESCUDERO) チョチキタム遺跡は、中米グアテマラのヤシの木が茂る熱帯雨林の中、落ち葉と石の塊に埋もれた場所にある。これまでほとんど知られていなかったこの遺跡は、考古学的な大発見が起こるような場所にはとても見えないかもしれない。ましてや、長い間、研究者たちを悩ませてきた闇の時代の手がかりが見つかるとは、誰も考えなかったはずだ。 しかし、それが現実になった。この場所で、翡翠(ヒスイ)を組み合わせて作ったミステリアスな仮面が発見されたのだ。これまで知られていなかったマヤの王のものだと考えられている。(参考記事:2024年3月号特集「ベールを脱ぐ古代マヤ」) 調査を率い

    見事なヒスイの石仮面を古代マヤの王墓で発見、「闇の時代」に光
  • 「湖水爆発」で数百万人が犠牲の恐れ、時限爆弾のようなキブ湖

    ルワンダとコンゴ民主共和国にまたがるキブ湖。そのユニークな地質的特徴により、湖深くに膨大な量の二酸化炭素とメタンガスが蓄積しており、湖岸に住む数百万人の命を危険にさらしている。(PHOTOGRAPH BY ROBIN HAMMOND, NAT GEO IMAGE COLLECTION) ルワンダとコンゴ民主共和国にまたがる緑豊かな渓谷にあるキブ湖は、見事な崖に囲まれている。湖上では漁師たちが小舟を浮かべ、歌に合わせて櫂(かい)を揃えて漕ぎながら、その日の料を捕っている。だが、湖の深部は、そんなのどかさとは無縁の世界だ。 キブ湖は地質学的に特異な多層湖で、深い層は蓄積した二酸化炭素とメタンで飽和状態にある。このような湖は世界に3つしかない。残りの2つはカメルーンのニオス湖とマヌン湖で、どちらも過去50年の間に湖水爆発を起こして致死的なガスの雲を噴き上げ、人間や動物を窒息死させた。 1986

    「湖水爆発」で数百万人が犠牲の恐れ、時限爆弾のようなキブ湖
  • ネコは世界をどのように捉えているのか、人間の感覚とどう違う?

    ネコが感じ取る世界は、私たちが暮らす世界とはかなり違っている。ネコには人間と同じ五感(視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚)が備わっているが、薄明かりの世界で生きやすいように、そのいくつかはより特殊化し、より精密になっている。(PHOTOGRAPH BY SAMUEL WHITTON, ALAMY STOCK PHOTO) ネコにとっての世界は、私たちが暮らす世界とはかなり違う。ネコは人間と同じ五感(視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚)を備えているが、感覚器官から入ってくる情報の理解や処理のしかたは人間とは大きく異なる。 ネコの気持ちを理解するためには、まず私たちはネコが世界をどのように捉えているかを理解する必要がある。あなたのネコが経験している世界を知ることで、ネコとの関係をより良くすることができるかもしれない。(参考記事:「ネコの表情は276種類あると判明、なぜそんなに多いのか?」) 視覚 ネコも人

    ネコは世界をどのように捉えているのか、人間の感覚とどう違う?
  • 仮想の自宅で「物を捨てる練習」、ためこむ人に効果あり、研究

    ためこみ症に悩む一人暮らしの男性。自宅アパートで。(PHOTOGRAPH BY ARNAUD CHOCHON, HANS LUCAS/REDUX) 古新聞や古着をはじめ、たいした価値がないのに物を捨てられず、生活に支障が出るほどためこんでしまう。そんな「ためこみ症」の治療に、片付けの爽快感や恩恵を仮想現実(VR)の世界で体験することが効果的という研究結果が発表された。「シミュレーションによって、ためこみ症の患者が大切にしている物を手放す練習をさせるという研究は、これが初めてです」と、医学誌「Journal of Psychiatric Research」の2023年10月号に掲載された論文の筆頭著者で、米スタンフォード大学医学部精神医学・行動科学教授のキャロライン・ロドリゲズ氏は言う。 ほとんどの人は、捨てられない大切な物を少しは持っている。しかし、精神疾患の一つであるためこみ症では、火災

    仮想の自宅で「物を捨てる練習」、ためこむ人に効果あり、研究
  • 1カ月の断酒が肝臓を救う 世界で広がる「ドライ・ジャニュアリー」

    1カ月にわたってアルコールを断つ「ドライ・ジャニュアリー」や「ソバー・オクトーバー」に参加している多くの人が、睡眠の改善や不安の軽減を実感している。専門家によると、肝臓や腸などの臓器にもいい効果をもたらすという。(PHOTOGRAPH BY VICTORIA JONES, PA IMAGES/GETTY IMAGES) 世界中で毎年何百万人もの人たちが、1カ月間アルコールを飲まずに過ごすことを選択している――「ドライ・ジャニュアリー(断酒の1月)」として始まったこの習慣は、今では「ソバー・オクトーバー(しらふの10月)」のような同様の取り組みへと拡大している。自身の飲酒習慣に関心を持ち、あえて飲まない「ソバーキュリアス」というライフスタイルを選ぶ人の数はどうやら、着々と増えつつあるようだ。 英国では、成人の7人に1人が2023年のドライ・ジャニュアリーに参加する計画を立てていた。また米国で

    1カ月の断酒が肝臓を救う 世界で広がる「ドライ・ジャニュアリー」
  • 空き地の緑化で凶悪犯罪を減らせる、虐待も、研究が米国で続々

    米ミシガン州デトロイトでは、空き地に都市菜園を作る取り組みが行われている。研究によると、このような緑地を増やしたり、空き地の草刈りをしたりするだけでも犯罪率の低下につながっており、米国のさまざまな都市でも同様の効果が見られるという。(PHOTOGRAPH BY MELISSA FARLOW, NAT GEO IMAGE COLLECTION) 米ミシガン州フリントに住むダーナル・イシュメル氏の自宅そばの空き地には、腰ほどの高さまで雑草が生い茂っていた。あまりに荒廃した雰囲気だったので、「外に出たくもありませんでした」という。「あたりにはイヌがたむろしており、草で対向車が見えず運転すらできない場所もありました」 それが約10年前の姿だった。当時、2014年に水道の汚染問題が明らかになる前のフリントは、凶悪犯罪率が高いことで有名だった。米連邦捜査局(FBI)のデータによると、2012年にフリン

    空き地の緑化で凶悪犯罪を減らせる、虐待も、研究が米国で続々
  • 人類に希望をもたらす2023年の医学的ブレイクスルー7選

    研究者たちは史上初めて昆虫の脳の完全な配線図を作り上げた。イラストは、ショウジョウバエの幼虫の中枢神経系における分化したニューロン(神経細胞)の形と構造を示したもの。(ILLUSTRATION BY MICHAEL WINDING ET AL., 2023) 新型コロナウイルス感染症は2023年も人々の命を奪い続け、全世界の累計死者数は700万人近くに達した。長い後遺症に苦しむ人々も大勢いる。しかし、2023年は悪いニュースばかりではなかった。 このウイルスに対する免疫を獲得した人々の割合が高まったため、世界保健機関(WHO)は5月5日に、新型コロナはもはや「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)」ではないと決定した。新しい変異株に対応したワクチンが使われるようになったことで、感染者数、入院者数、死者数が減少した。(参考記事:「コロナワクチンは「年1回のインフルワクチンのよう

    人類に希望をもたらす2023年の医学的ブレイクスルー7選
  • 「霊と話せる」スピリチュアリズム、100年前の熱狂とその結末

    マギーとケイトのフォックス姉妹は、米ニューヨーク州郊外の一軒家に住んでいた。この家には殺された行商人の霊がとりついているといううわさがあった。1848年からフォックス姉妹は交霊会を開くようになり、ラップ音を使って死者の霊と交流できると主張した。姉妹は各地で揺るぎない名声を確立したが、1888年、マギーは交霊会がでっち上げだったことを告白した。(AKG/ALBUM) 亡くなった人と話したいという願いは、人類の歴史と同じぐらい古くから存在していたようだ。メソポタミアからギリシャ、中国文明に至るまで、古代の宇宙論では死者の霊が重要な役割を果たしていた。しかし、聖書の記述をはじめとしてユダヤ教でもキリスト教でも故人の助言を求めることは伝統的に禁止され、千年もの間、霊との交流は有罪で死刑にも値する罪とされていた。(参考記事:「魔女の魔術に呪文詠唱…米国で人気急上昇の「ペイガニズム」とは」) ところが

    「霊と話せる」スピリチュアリズム、100年前の熱狂とその結末
  • つらい記憶のフラッシュバックは「テトリス」をやると減る、研究

    2006年、イラクのアルファルージャで、軍用の金属探知機を膝に乗せ、テトリスをプレイする米海兵隊の兵士。(PHOTOGRAPH BY TOBY MORRIS, ZUMA PRESS/ALAMY STOCK PHOTO) 1980年代に世界的ベストセラーになったコンピューターゲームの「テトリス」を、メンタルヘルスの改善に役立てる研究が進められている。具体的には、テトリスをプレイして、性的暴行や自動車事故、戦争、自然災害、または困難な出産などを体験した後に起こるフラッシュバック(過去に経験したトラウマ的な記憶が自分の意志とは無関係に侵入すること)の回数を減らせる可能性があるという。 世界24カ国で実施した調査によると、人が死ぬところを見たり、愛する人が突然亡くなったり、命が脅かされたりする事故に遭ったりするなどのトラウマ体験があると報告した人の割合は70%を超えていた。だが、その後に睡眠障害や

    つらい記憶のフラッシュバックは「テトリス」をやると減る、研究
  • 培養肉について知っておきたいこと、レストランで提供開始、米国

    2013年、英ロンドンで披露された世界初の培養肉。かつてSFの世界の存在だった培養肉は、数百万ドル規模の産業に発展し、未来の材ともいわれている。(PHOTOGRAPH BY DAVID PARRY, REUTERS) 未来の材と注目されている培養肉が、この7月にも米サンフランシスコとワシントンD.C.のレストランで提供される見通しだ。培養肉の提供は世界でもまだ例が少なく、米国内では初めてとなる。 米農務省は2023年6月に、アップサイド・フーズ社とグッド・ミート社に「鶏肉」の生産と販売を許可した。2社は、まずレストラン(アップサイド社はサンフランシスコの「バー・クレン」、グッド・ミート社はワシントンD.C.にあるホセ・アンドレス氏の「チャイナ・チルカーノ」)と提携する。将来的には他の培養肉も市場に流通させ、スーパーマーケットやレストランでの提供を目指す。 この農務省の決定で、米国はシン

    培養肉について知っておきたいこと、レストランで提供開始、米国
  • 水は1日にどれくらい人体を出入りするのか、初の計算式

    水は、私たちの体に欠かせない。ごく当たり前のことだが、体を日々出入りする量は、これまで科学的に明らかにされてはいなかったそうだ。その量を推定する計算式を、医薬基盤・健康・栄養研究所(NIBIOHN=ニビオン)などの国際研究グループが初めて開発した。体や環境のデータを基に、1日に失う水分量の目安を算出できるという。人生のさまざまな時期や災害時などに必要な量を予測できれば、健康管理に役立ちそうだ。 「重水素」手がかりに大規模調査 私たちの体のおよそ半分は水。一般的な成人男性で体の53%、成人女性で45%、乳児では60%を占めるという。この量を維持するため、私たちは飲んだり、事や呼吸をしたりして水分を取る。ここでストック、つまり体に含まれる水分の量は分かっていたが、フローである1日の出入り量は正確な把握が難しかった。従来は小規模な調査や、主観に頼るアンケートに限られてきたという。

    水は1日にどれくらい人体を出入りするのか、初の計算式
  • 2022年の驚くべき発見22 人類の知はこれだけ広がった

    毎年、世界中の研究者が、人類の知の蓄積に貢献している。 古生物学者や考古学者は過去の痕跡から、はるか昔に失われた生命や文明を明らかにする。生物学者や地球科学者は地球とこの星に暮らす生命の仕組みを解明し、天文学者は地球の外に広がる謎を追求する。そして医学者は、人体の複雑さとそれを脅かす病気を研究し、人類という種を守るための新たな手段を開発する。 人類の絶え間ない探求と実験からもたらされる発見は、予想もしなかったようなものであることも少なくない。今年、特に大きな驚きとなった発見を以下にまとめた。

    2022年の驚くべき発見22 人類の知はこれだけ広がった
  • 偽の薬だと知りながら服用しても効果があるのはなぜか

    この2つのカプセルのうち、一つは有効な薬で、もう一つはプラセボ(偽薬)だ。(PHOTOGRAPH BY SPENCER WEINER/LOS ANGELES TIMES VIA GETTY IMAGES) 臨床試験で渡されるプラセボ(偽薬)には、薬としての有効成分が何も含まれていないはずなのに、それを服用した被験者に症状の改善が見られることがある。これは、「プラセボ効果」と呼ばれる現象だ。プラセボ効果を得るには、それがプラセボであることを被験者に知らせないことが重要であると考えられてきた。 ところがここ数十年の間に、最初から被験者にプラセボであることを知らせるオープンラベル(非盲検試験)の有効性を検証する研究が複数実施され、多くの場合症状が緩和したという結果が出ている。 米マサチューセッツ州に住むベティ・ダーキンさん(73歳)は、自宅で転倒して首の骨を折り、頚椎を損傷し、ひどい痛みに悩まさ

    偽の薬だと知りながら服用しても効果があるのはなぜか
  • 1