お稽古している方は必ず問答で出てくる“利休形”・“利休好み”。それらの道具にどういう印象を持っていますか。利休様が関わる道具には、好まれたもの、作られたもの、見立てたものの3つがある。 利休様が好まれた素材は、木地、黒・朱の塗り、無地。まさにシンプル。柄のものはほとんどなく、余計なものを全て削ぎ落とし完成したSIMPLE IS BESTの世界といった感じ。今もそれが大切にされる理由は何に使ってもフィットするということも大きいと思う。利休様という方は今風に言えば時代の最先端デザイナー、アーティストだったのではないでしょうか。 さて、まず好まれたものについて。これは利休様本人が好み、職人方に作らせたもので、今もデザインの原型が残っていて模すことができる。 ”利休好みの中棗でございます” 薄茶平点前の道具拝見問答の基本として習ったと思うが、これは利休様が好んで、宗哲に作らせたベーシックな形の中棗