大橋マリ(音楽ジャーナリスト) タンブッコはメキシコのパーカッション・アンサンブルである。メキシコを本拠地に活動する打楽器四重奏団と言い換えてもよい。その彼らがこのたび、日本の文化芸術の海外への紹介や発信に大きく貢献したとして、2011年度の国際交流基金賞を授与された。これまでに同賞を受賞した音楽関係者は小澤征爾、黒沼ユリ子、武満徹、五嶋みどり、團伊玖磨、三浦尚之、穐吉敏子各氏、そして外国人としては1973年の国際交流基金賞創設以来、実にヴォルフガンヴ・サヴァリッシュ氏(NHK交響楽団挂冠名誉指揮者)ただ一人であることを知れば、これはちょっと捨て置けない"事件"と言ってもさしつかえあるまい。 タンブッコと日本の出会い メキシコ在住のヴァイオリニスト黒沼ユリ子氏は、授賞式において、タンブッコをよく知る人として彼らを讃えた。 "タンブッコは、誰も依頼していないにもかかわらず自発的に、日本の現代