■トヨタ市に対する懸念 以前に住んでいて,しばらくぶりに出かけるとその変貌ぶりに驚いてしまう場所というのは、誰にも一つや二つはあると思う。私の場合、その典型なのが愛知県トヨタ市だ。私の記憶の中のトヨタ市は、『ど』のつく『田舎』だ。当時も急速な住宅開発等が進んでいる区域はあったが、それでも、広大な田舎の田園や森林に比べればほんの一部に過ぎなかった。当時すでに世界第二の自動車会社(トヨタ自動車)の本社があるこの場所は、一方で『開拓を拒む未開の荒地』に思えた。 ところが、しばらくぶりに訪れてみると、あまりの変貌ぶりに言葉さえ見つからない。かつては目隠しをしていても道を間違えそうになかった田舎道でさえ、今やカーナビがあっても道に迷いそうな迷宮だ。企業の急成長に引きずられるように、無理矢理拡張させられたこの企業城下町には、『無秩序の秩序』とも言うべき、アジア的な活気と混沌を感じてしまう。 だが、不自