それはもうずいぶん前のこと。1週間ほどのタイひとり旅の最終日。 僕はその日の夜の便で日本に帰国することになっていた。 特にすることもなかったので中華街近くにあるかつての貧乏旅行者の溜まり場7月22日ロータリーにある公園のベンチに座ってタバコを吸っていた。 僕の目の前ではどこか機械的でもありそれでいて全く意味のない動きを繰り返す虚ろな目をしたジャンキーがうろついていてその姿をボーッと眺めていたんだ。 今ではきれいに花なんか植えられちゃってすっかり様変わりしているこの公園もその当時はまだ昔の名残か正体なくぶっ倒れているホームレス数人と朝からラリっているジャンキーがうろついているような場所だった。 周囲には貧乏旅行者たちの定宿として名を馳せたかつてのジュライホテルや楽宮旅社があり薄汚れて崩壊しそうな建物が密集する道端では朝から売春婦が客引きをしている。 どんどん発展してきれいになっていくバンコク